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断らない救急 新病院で実践

断らない救急 新病院で実践

宮崎県立 宮崎病院 
嶋本 富博 院長(しまもと・とみひろ)
1984 年九州大学医学部卒業。九州がんセンター、
九州大学医学部附属病院、宮崎県立宮崎病院産婦人科部長、
同副院長などを経て、2021 年から現職。

 4月に院長に就任した嶋本富博氏は、新型コロナウイルス感染症対策と並行して新病院建設事業を進めている。新病院で「断らない救急」の実践を目指す一方、変わらず次世代へ受け継ぎたいものとは─。



コロナ禍通じ 選択と集中を実践

 コロナ禍での新病院建設という難題に、就任当初から向き合っている。コロナへの対応では、感染症病棟を拡大するために最大で3病棟とICUを閉鎖した。一方、同院の使命を果たすために救命救急センターの運用は維持した。

 第5波までは周囲の医療機関や行政の協力も得ながら乗り越えてきた。「限られた医療資源の中でできることに注力して、手術は緊急性が高いがんなど特に生死に関わるものに集中して行いました」と振り返る。

 嶋本氏は、選択と集中を余儀なくされた時期をプラスにも捉えている。「将来的には医療リソースの選別と選択、減少が起こると推測され、この1年間でその予行練習ができたという側面もあります」。病床も半年ごとに見直して再編成し、限られたベッドを有効活用している。

 新病院の病床数は、現行の535床から490床に縮小する予定で、「ベッドは必要な人のためのものだという意識を少しでも醸成していくために、病棟は可変式にしました」と話す。


ミッションは「断らない救急」

 2022年1月に開院を控えた新病院には、嶋本氏が前院長から託されたミッションである「断らない救急」を重視するスタンスが明確に反映されている。

 ヘリポートに直結しているエレベーター付近には、フロアごとに緊急性を要するさまざまなセクションを設置した。1階の救命救急センターは現行より増床し、救命病棟も同じフロアにして動線を短くした。これまでフロアが異なっていた産婦人科とNICUは、5階の産科病棟の隣にNICUを配置。手術室は7室から10室に増やし、手術支援ロボット・ダビンチも導入する。「『断らない救急』の実現に向け、ハード面は整いつつあります」。救命救急だけでなく、がん医療やロボット支援手術をはじめとする低侵襲手術の充実、災害医療への備えも待ったなしだ。


在籍30年超 後進に愛情注ぐ

 新病院になっても、変えずに引き継ぎたい良さがある。「当院の良さは縦と横のつながりが非常に良くて垣根がないこと。医師同士も、医師と他職種もフランクに接します。宮崎の土地柄なのか開放的で壁をつくらず、一体感が強いと思います」

 通算31年、人生の半分近くを宮崎病院と共に歩んできた。だからこそ思い入れは強く、「縦と横のつながりでさまざまなことを教えてもらい、育てられてきました。この病院は私にとって『恩人』。若い世代の職員にも、同じ思いを味わってほしいですね」と話す。

 院長としてさらに進めていきたいのが、後進の育成。約170人の医師が在籍し、受け入れている初期研修医は例年、県全体の約3割を占める。育成面で果たすべき役割は大きく、「初期研修医の入り口の教育を病院全体で担い、彼らが育つ素地をつくっていきたいと思います」と語る。

 自身は研修医を終えた直後の2年間、同院に赴任した。当時の院長の印象が鮮烈に焼き付いている。普段は厳格だが、2カ月に1回ほど電話がかかってきて「よく頑張ったな」と労われたり、突然「良い論文を書いたな」と声を掛けられたりした。「院長が自分の働きぶりを見てくれていることがうれしく、励みになりました。地道に仕事をすれば見てくれている人はいるのだと感じました」。自身も当時の気持ちを大切にして、職員に向き合っていく。



宮崎県立宮崎病院
宮崎市北高松町5-30 ☎0985-24-4181(代表)
https://www.kenritsu-miyazakibyouin.jp/

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