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数々の改革を行い、3年連続の黒字化へ

数々の改革を行い、3年連続の黒字化へ


院長(むらかみ・あきひこ)

1979年岩手医科大学医学部卒業。
岩手県立宮古病院消化器内科科長、岩手県立中央病院副院長などを経て、2015年から現職。
岩手医科大学臨床教授兼任。

 医師不足や少子高齢化などの影響により、地方の公立病院の多くは厳しい経営を強いられている。そのような中、岩手県立宮古病院は2017年から2年連続で黒字を達成した。キーパーソンは、2015年に院長として赴任した村上晶彦氏。村上院長が実施した病院改革はどのようなものか。

―黒字化に至るまでの主な施策を教えてください。

 まずは医師の確保です。2000年の時点で当院には50人の医師がいましたが、2011年は27人にまで減少。それに比例して収益も悪化していました。しかし、その後は研修医の獲得などに取り組んだことで徐々に医師が増加し、現在は38人が常勤しています。これに加え、非常勤の専門医にも来ていただくことで、以前よりも診療体制を充実させて、患者さんの受け皿を広げました。

 次に大きかったのは、2 016年に地域医療支援病院の承認を受けたことです。私は約30年前にも当院で一度働いており、当時の同僚だった先生方が近隣地域で開業されています。そこで皆さんの協力を仰ぎながら、患者さんの紹介率・逆紹介率を高め、支援病院の承認を得ることができました。これにより、入院患者さんのDPC(診断群分類包括評価)係数が上がり、診療報酬も増加しました。

 その他の施策としては、地域がん診療連携拠点病院としての強みを生かし、がんの手術、化学療法、放射線治療などの件数を増やしたこと。また、院長や事務長などの執行部も参加する「地域包括ケア病棟会議」を毎週開催し、患者さんに対する治療や支援策を詳細に検討していること。透析病床を9床から15床に増やしたことなども収益に一役買っています。

 これらの結果、私が就任した2015年度の経常損益はマイナス約1億3000万円でしたが、翌年度はマイナス約6500万円で赤字幅が大きく縮小。そして2017年度はプラス約2000万円、2018年度はプラス約1億1000万円と2年連続で黒字を達成しました。さらに2019年度も黒字の見通しとなっています。

―救急・災害医療でもさまざまな試みを始めましたね。

 救急医療に関しては、2015年に地域の消防本部と提携し、救急車から病院に心電図を伝送できるシステムを導入。当初は1台のみの試験運用でしたが、74人の心電図を伝送、5人を心臓カテーテル治療で救命したことにより、翌年からは全ての救急車11台に導入されています。現在、当院では宮古医療圏における約82%の救急車を受け入れていますので、今後も救急医療の整備に注力したいと考えています。

 災害医療ではDMATを1隊から3隊に増やし、同時に隊員の育成にも取り組んでいます。2016年の台風10号による災害や2018年の北海道胆振東部地震の時は当院のDMATが被災地で活動しました。それとは別に、私自身も2019年の台風19号で大きな被害を受けた宮古市重茂地区で訪問診療を実施。災害拠点病院として、災害医療の向上は常に意識しています。

―今後の病院運営についてどのようにお考えですか。

 東日本大震災以降、宮古には明るいニュースが少なく、どこか元気がありませんでした。そのような中、職員や地域の皆さんの協力を得て、当院が2年連続で黒字になったことには大きな意義があると感じています。今後も地域連携を大切にして、「地域になくてはならない病院」を念頭に置きながら、引き続き経営の安定化を図ります。

 同時に、若い医師の育成も重要です。特に「医師の地産地消」として、県内の医学奨学生を中心に育てたいですね。これにより、岩手県全体の医師不足に対して、少しでも貢献したいと思っています。

岩手県立宮古病院
岩手県宮古市崎鍬ケ崎1─11─26
☎0193─62─4011(代表)
http://www.miyako-hp.jp/

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