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救急車〝お断りゼロ〟を目標に地域に必要な病院を目指す

救急車〝お断りゼロ〟を目標に地域に必要な病院を目指す


院長(かみや・さとあき)
1983年名古屋大学医学部卒業。名古屋第一赤十字病院、安城更生病院、
津島市民病院副院長兼統括外科部長などを経て、2017年から現職。

 2019年9月9日、津島市民病院は津島市を中心とした海部医療圏での2次救急医療に対する貢献が認められ「救急医療功労者愛知県知事表彰(団体)」を受賞した。神谷里明院長に受賞に至った取り組み、そして今後の課題を聞いた。

―救急医療の取り組みと地域における役割は。

 海部医療圏で2次救急を受け入れられるのは海南病院と当院のみです。病院の規模や職員の数などの問題もありますが、できる限り地域で完結できる専門性の高い医療を提供することを目指しています。

 救急車の受け入れは年々増加傾向にあり、2017年、2018年と年間受け入れ台数は4500台を超えました。医師不足に対しては、研修病院に手を挙げたことで、研修医の数が増えたこともあり、できる限り断らずに受け入れています。

 今回の「救急医療功労者愛知県知事表彰(団体)」受賞は、〝お断りゼロ〟を目標に、地道にコツコツと取り組んできた成果だと思っています。2017年、2018年の〝お断り率〟は5%前後。20人のうち19人は、受け入れるという基本姿勢を貫いています。

―急性期後のサポートは。

 急性期の患者さんは85歳以上の方がかなり多く、治療後、ほとんどの方が家に帰ることを望まれます。

 しかし、中には帰れないケースもあり、当院の地域包括ケア病棟、回復期リハビリ病棟に移っていただき、リハビリや日常生活のための訓練を行い、安心して地域に戻れる仕組みをつくっています。

 地域包括ケア病棟は、急性期から在宅へのつなぎだけではなく、在宅で治療をしていて、一時的に調子が悪くなった時にも使っていただくことができます。

 自宅に戻ったとしても昼間は一人になる方も多く、すべてのご家庭に介護力があるわけではありません。高齢者の場合、病気が一つに限らないことが多く、治し切るというのは難しい。患者さんの状態を良くした上で、その後、病気とどう付き合っていくかがポイントになると思います。

 最終的にはあらゆる病気において、緩和ケアをしながら本人が望む場所で、本人が望む生き方がどこまでできるのか。そのための医療面でのサポートを、われわれが担っていく必要があると思っています。

―今後は。

 9月26日、厚生労働省が全国424の公立・公的病院を「再検証要請対象医療機関」として公表。愛知県内では9病院が対象となり、当院もその一つに入っていました。

 対象理由の一つに「各分析項目について、構想区域内に、一定数以上の診療実績を有する医療機関が二つ以上あり、かつお互いの所在地が近接している」というのがありました。

「『近接』とは、夜間や救急搬送の所要時間を考慮する観点から自動車での移動時間が20分以内」と定義されています。海部医療圏では、ほぼ同等の機能を持つ病院は当院と海南病院ですが、海南病院の方が規模的には少し上なので、当院の名前が挙がったと思われます。

 厚生労働省は「地域医療構想調整会議の活性化を意図したものであり、今後の方向性を限定するものではない」との見解を示していますが、報道では「再編・統合」の文言が強調され、地域の方々に「将来、津島市民病院がなくなるかもしれない」との不安を抱かせ、病院のイメージが著しく傷つけられてしまったことは誠に遺憾であり、地域の実態や特性を無視したものといえるでしょう。

 当院は地域の方々に必要とされている病院として、これからもその役割は変わりません。今後は、「愛知県地域医療構想推進委員会」において検証を行っていきますが、海部医療圏における津島市民病院の必要性をしっかりと伝えていきたいと思います。

津島市民病院
愛知県津島市橘町3―73
☎0567―28―5151(代表)
http://www.tsushimacity-hp.jp/

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