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救急、母子医療を軸に 経営努力で強化を目指す

救急、母子医療を軸に 経営努力で強化を目指す

近江八幡市立総合医療センター
宮下 浩明 病院事業管理者・院長(みやした・ひろあき)

1980年京都府立医科大学卒業。
米テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンター客員講師、
近江八幡市立総合医療センター泌尿器科部長、
副院長などを経て、2014年から現職。
京都府立医科大学泌尿器科臨床教授兼任。

 東近江医療圏唯一の救命救急センターであり、車で40分の距離にある東近江総合医療センターと共に地域医療を担う基幹病院だ。宮下浩明院長は、「地域に必要とされていることに甘んじてはいけない。断らない医療を維持するため、何ができるかです」と語る。

―近年、経営改革を推進。

 一つは2016年に地域包括ケア病棟を開設し、増収を図ったことです。ここの近隣は200床足らずの病院と精神科病院がほとんど。病院間で超急性期・急性期・回復期の機能を分けられないので、ある程度当院で完結しなくてはならないという事情がありました。

 さらに、今度は看護必要度という課題が出てきました。看護必要度を高めようにも高齢の入院患者さんが多く、ポストアキュート用にバッファー、つまり緩衝材的な病棟が必要だったという理由もあります。

 開設翌年2017年の増収効果は、年間1200万円。当初の試算には及びませんでしたが、人員配置が少なくて済む60日間までの入院料が確保でき、その間に退院サポートができるなど、使い勝手のよい病棟となっています。

 さらに、2017年には入退院支援室を開設。これは、病棟看護師の大幅な残業時間削減につながりました。前年との比較では看護部全体で1896時間、さらに2018年度は7364時間の削減に。入院後の説明に時間を取られなくなったというメリット以外にも、薬剤管理などが徹底されることで、入院手術が変更になる無駄が減りました。その結果、平均在院日数は9・0日に減少。非常に回転率が良くなってきました。

 現在、入退院支援室のスタッフは6人。20あるうちの12の診療科に介入しています。人員を増やしていければ、まだ効果拡大の余地はあるでしょう。

―今後、より求められる機能や課題は。

 当院は県に三つしかない地域周産期母子医療センターの一つ(総合周産期母子医療センターを含めると県に四つ)。開業医はお産の扱いが難しく、働き方改革が4年後に迫る中、当院が担う役割はさらに増しています。

 これまでは帝王切開や切迫流産などを診るのが使命でしたが、今後は正常分娩も扱わなくてはならない。となると現在の6人体制では足りなくなる恐れがあります。9人いる小児科医も増員が必要でしょう。今年度中にGCU(回復治療室)6床を新設予定。さらに母子医療に力を入れなければと思っています。

 この地域は京都のベッドタウン。産み育てる環境をまち全体でつくらなければ、ますます少子高齢化は進みます。とはいうものの、増員となると人件費は相当増える。経営上どう解決するかは心配ですし、重要な課題です。

 また〝断らない医療〟は当院の責務です。そこで病棟から診療科の看板を外し、空き病棟はみんなのものという意識を共有しています。これで搬送の受け入れがより可能になりました。患者よし、救急隊よし、職員よしの三方よしです。稼働病床が増えたことで、収益増加にもつながっています。

 その他の機能整備として2018年には「治験管理センター」「がん診療支援センター」を設置。「脳卒中センター」の開設も予定しています。

―入職30年です。

 医者は個性豊か。各自がすばらしい能力を持っています。これを上手にまとめ、活用するのが仕事だと思っています。

 私が思うのは「ベクトルの総和が目指す方向に向いていればいい」ということです。同じ意見ばかりの社会は進歩しません。進化論のように、多くの変化があってこそ、よいものが残っていく。多様性を認める組織でありたい、これは常に大事にしたい信条です。

近江八幡市立総合医療センター
滋賀県近江八幡市土田町1379
☎0748―33―3151(代表)
https://www.kenkou1.com/

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