九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

放射線治療、緩和ケア 持てる力で”地域完結“を

放射線治療、緩和ケア 持てる力で”地域完結“を


山下  巌 病院長(やました・いわお)

1985年富山医科薬科大学(現:富山大学)医学部卒業、同大学第二外科入局。
同助手、東名厚木病院外科、同救急部長などを経て、2015年から現職。

 1981年に開院した東名厚木病院。年間の救急患者数は1万強、救急搬送件数は5000前後の、救急を強みとする地域医療支援病院だ。がん医療にも力を注ぎ、2020年には、神奈川県がん診療連携指定病院の認定を取得。山下巌病院長は「地域で、がん医療を完結できるようにしたい」と語る。

―がん医療に注力される背景と、これまでの強化の道のりについて、お聞かせください。

 ここ県央2次医療圏は、がん治療の地域完結率が低いことが課題となってきた地域です。数年前のデータで、放射線治療の地域完結率が20%未満、化学療法が30〜40%。がんの患者さんの圏外への流出が多いと言われてきました。

 診断から治療、緩和ケアまで、総合的に高い質で提供する病院が、地域内に必要だと考え、「県がん診療連携指定病院」の指定取得を目標に掲げたのが6年前。以降、プロジェクトチームをつくり、毎月、がん診療の現状を振り返り、がん診療連携指定病院の指定要件に見合うか、ハード面、ソフト面の改善を重ねてきました。

―緩和ケア、放射線治療の部門を相次いで開設されましたね。

 まず、着手したのが緩和ケア内科と、緩和ケア病棟の開設です。近隣の病院の機能として少なかったのが緩和ケアを提供できる施設。そこで、医師2人による緩和ケア内科と緩和ケア病棟14床を開設しました。

 当院は在宅での看取(みと)りを支援しています。自宅で過ごす患者さんのもとには、緩和ケア内科の医師が率先して訪問診療に入り、サポートしています。

 放射線治療については、治療を希望する患者さんの地域外流出が多かったことと、今後、放射線治療が、がん治療の主流になることを考慮し、放射線治療科を開設。2017年6月に開始しました。

 開設に当たっては、東京大学医学部附属病院放射線科からのサポートやアドバイスを受けました。常勤の放射線治療医の確保ができない分は、東大病院より常勤の医学物理士を派遣いただき、オンラインで東大病院と連携することでカバーしています。

 治療装置、計画システムなども東大病院と同じ装置にしたことにより、当院で治療する患者さんの放射線治療計画を遠隔で立てることが可能です。

 根治のための照射だけでなく、がんによる痛みなどの症状を和らげる「緩和照射」の件数も伸びています。骨転移による痛みの消失や腫瘍出血の止血など、短時間の治療でADL向上が見られます。地域の病院からの患者さんの紹介も増えていることから、喜んでいただけていると思います。

 ―今後に向けて、目指す病院のあり方をお聞かせください。

 指定病院になったから、それで終わりということではありません。4年後の再指定を目指し、最先端の医療をタイムリーに取り入れていかなければならず、そのためには、医師やメディカルスタッフも学び続けていく必要があるでしょう。

 がんの診断から、治療、緩和ケアまで、一連でも、一部でも、しっかりとした役割を果たし続けられるよう、常にブラッシュアップしていきたいと思います。

 7月には、がん総合外来を設けました。どこの病院、どこの診療科に行けば、希望する治療が受けられるのか。今、抱えている症状、不安、悩みが解消されるのかわからないという患者さんを、当院の診療科だけでなく地域の医療機関へも、つなぎます。

 患者さん、ご家族を〝迷子にさせないこと〟をコンセプトとし、さまざまな工夫を加えます。結果、県央医療圏で、がん医療を完結できるよう、地域の方や医療機関の信頼を少しずつ得ながら、歩んでいきたいと思います。

社会医療法人社団三思会 東名厚木病院
神奈川県厚木市船子232
☎046―229―1771(代表)
https://www.tomei.or.jp/hospital/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

Instagram did not return a 200.

コメントはこちらから

[contact-form-7 404 "Not Found"]
メニューを閉じる