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採用・育成と臨床の充実に向けて

採用・育成と臨床の充実に向けて


教授(さかもと・たつのり)

1995年京都大学医学部卒業。
理化学研究所リサーチアソシエイト、北野病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科副部長、
京都大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科講師などを経て、2020年から現職。

 奈良県出身の坂本達則教授。医師人生のほとんどを近畿で過ごしてきた。山陰へは初めての赴任。「患者さんがハッピーになる医療」を信条とする。

患者さんがハッピーになる医療

 島根大学耳鼻咽喉科はこれまで、頭頸部腫瘍の治療を強みとしてきた。坂本教授の専門は、耳・鼻といった感覚器の内視鏡手術。「これまでの柱である頭頸部腫瘍の治療に、慢性中耳炎や鼻副鼻腔炎、高度難聴といった耳や鼻の領域の手術もプラスし、臨床を充実させていきたい」と語る。

 外来の時、教授自身が患者に対してよく使う言葉は「(その症状で)困っていらっしゃいますか?」。根底にあるのは、患者が幸せになる医療を提供したい、という強い思いだ。

 「患者さんの中には、『手術をしなきゃいけませんか? 先生、決めてください』とおっしゃる方がたびたびいます。でも、私は患者さんが困っていない状態で手術をするのは意味がないと思っています」

 患者が困っていて、それを解決する手段があるなら、その選択肢を患者と一緒に選び、実施する。解決できない時には、それを丁寧に伝える。「患者さんがハッピーになる医療をしたいし、そのためなら頑張れる。その結果いただく感謝の言葉が、原動力ですね」

若手が島根に集う日を目標に

 「私の使命の一つは、若手の育成です」と語る。島根県内の耳鼻咽喉科専門医は、現在40人弱。高齢化に伴って増え続ける医療ニーズに対して、専門家の数は十分とは言えないのが現状で、耳鼻咽喉科医の養成、関連病院への派遣が大きなミッションとなっている。

 若手呼び込みのために重要なのが「教育環境の整備・充実」。一つの手だてとなりそうなのが、島根大学に設置されている「カダバーサージカルトレーニングセンター」だ。

 2020年1月に献体を用いた1例目のトレーニングが実施されたが、耳鼻咽喉科での活用はこれから。坂本教授は、京都大学時代、献体を活用した手技のトレーニングや教育に深く関わってきた経験を生かし、若手の育成に同センターを活用したいと言う。

 「新型コロナウイルス感染症の流行によって広がっているオンラインでの教育が、今後も残っていくのではないかと考えています。そうなれば、島根のような都市圏から離れている場所にいても、学ぶ機会を制限されることがなくなる。むしろ、医師の人数が多くない場所の方が、数多くの症例を経験できるとなれば、地方にいることがメリットになります。県外から島根へ、若手が集まるようになればうれしいですね」

目の前だけでなく将来を共に見る

 就任後、教室の医師・言語聴覚士計7人と、1人ずつ面談。仕事で目指す方向性、公私の目標など、1人平均1時間、長い人とは2時間向き合い、話を聞いた。

 「この教室のメンバーは少ない人数で奮闘している分、目の前の仕事でいっぱいいっぱいになってしまうことも多い。でも、自分自身が、細分化されている専門分野の中でどのエキスパートになっていきたいのか、何をすればモチベーション高く頑張っていけるのか、視線を遠くに向けて、将来を考えることも大切です」

 夢中になれる専門を見つけ、追究することで、県内外の医師、患者から信頼され、感謝される機会も増えていく。自身もそんな経験を重ねてきた。「『この疾患なら、この先生』と頼っていただけることが増え、自分のやりがいにつながっていく。教室の一人ひとりにそんな体験をしていってほしいと願っています」

島根大学医学部耳鼻咽喉科学講座
島根県出雲市塩冶町89-1 ☎️0853-23-2111(代表)
https://www.med.shimane-u.ac.jp/oto/

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