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戦略は実現できてこそ 目標管理で成果を出す

戦略は実現できてこそ 目標管理で成果を出す

地方独立行政法人加古川市民病院機構
大西 祥男 理事長・院長(おおにし・よしお)

1983年神戸大学医学部卒業。米ワシントン大学留学、神戸大学医学部附属病院講師、
兵庫県立柏原病院(現:兵庫県立丹波医療センター)院長、
加古川西市民病院・東市民病院(現:加古川中央市民病院)統括院長などを経て、
2016年から現職。

 2016年の新統合病院開院から、高度専門医療を行う5大センター(消化器、心臓血管、こども、周産母子、がん集学的治療)を核に、32診療科、600床を有する急性期病院として地域に貢献してきた加古川中央市民病院。病院機構のトップとして陣頭指揮に当たっている大西祥男理事長・院長に聞いた。

―これまでの取り組みについて教えてください。

 運営が軌道に乗って以降、診療科の拡大や医療の質の向上に尽力。乳腺外科、放射線治療科に続き、2020年4月には小児循環器内科を開設予定です。専門医や認定遺伝カウンセラーと準備を進めてきた遺伝子診療部門も立ち上げます。

 医療機器の導入更新も積極的に実施。循環器領域ではTAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)やインペラ(補助循環ポンプ)での治療、消化器領域では手術支援ロボット「ダビンチ」による直腸がん手術のほか、肥満症治療の外科手術も始めました。

 質に関しては、2019年12月に県で4番目となる医療被ばく低減施設に認定。ほかに輸血機能評価や病院機能評価の認定などを通して、職員全体の意識の向上を実感しています。

 救急医療にも注力。2018年度はドクターヘリを含む救急受け入れが7648件、救急外来は合計約1万5500件。不応需率は1桁台に下がりました。

―過去最高21億円強の黒字を達成されている理由は。

 第一に、医療者が診療に専念できることです。例えば、医師事務作業補助者。体制加算は15対1が上限なので600床なら40人の計算ですが、当院は約70人を配置し、さらに増員を考えています。人件費はかかりますが、医師の事務的負担が減り、圧倒的にプラスに働きます。

 もう一つは、BSC(バランスト・スコアカード)を用いた目標管理。年3回、計70の部門ごとにヒアリングを行い、一度に35時間ほどかかります。大変ですが、人材育成、患者サービス、業務改善、財務を中心に、何を目指すのか根気強く話し合ってきた結果、今があると思っています。

 「BSCを取り入れているがうまくいかない」という話はよく聞きます。その理由は結局、収益の話に転じているからではないでしょうか。「人をどう育てるか」「工夫できる患者サービスは?」「業務改善できるところは?」など、考え実行し、財務はその結果です。

 各診療科の診療内容を理解し、手術や収益ばかりでなく、数字に表れない貢献度もしっかり評価し、ヒアリングを実施しています。

―データを有効利用し、結果を出しているそうです。

 ヒアリングでは、数値データによる判断が欠かせません。企画情報部にはシステムエンジニア(SE)が5人所属しており、電子カルテの膨大な数字から必要なデータを作り込んでいます。

 医師は数値に強いですから、平均値と比べるなどして、具体的な改善策を考えます。実現には内外の連携が必須で、そこには私が出向いて話をつなぎます。

 最初は、「面倒やな」と思われていたでしょうね(笑)。でも数年たって浸透してきました。

 次は、後進の育成、コミュニケーションの活性化です。当院ではシステミック・コーチングに取り組んでいます。私自身も院内の5人のステークホルダーに、コーチングを続けています。コーチングはテクニックではなく、「あなたのことを考えていますよ」という思いを具現化することが大切だと感じました。

 また、「スペシャルサンクスカード」という私から職種、雇用形態に関係なく、頑張っている職員に感謝を贈るカードも始めました。

 運営において、さまざまな戦略を立てています。しかし、肝心なのは、どこまで具体的に落とし込めるか、人に実際に行動してもらうか。その工夫が重要ではないかと考えています。

地方独立行政法人加古川市民病院機構 加古川中央市民病院
兵庫県加古川市加古川町本町439
☎079―451―5500(代表)
https://www.kakohp.jp/

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