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感染症医療を世界水準へ専門医の育成も急務

感染症医療を世界水準へ専門医の育成も急務

佐賀大学医学部 国際医療学講座 臨床感染症学分野
主任教授(あおき・ようすけ)

1984年福岡大学医学部卒業。米スタンフォード大学、
佐賀大学医学部臨床検査医学講座准教授などを経て、2011年から現職。
同附属病院感染制御部長兼任。

 佐賀大学医学部附属病院感染制御部の部長も務める青木洋介主任教授。感染症について全診療科のコンサルテーション診療を担っている。「感染症医療を国際水準へ」を目標に、現在の取り組みについて聞いた。

─感染症専門医の現況を教えてください。

 諸外国に比べて日本の感染症診療は整備が遅れています。専門医の数もまだ足りていません。日本感染症学会が認定した感染症専門医は約1560人ですが、医療機関の数などを勘案すると3000人~4000人程度が適正だとしています。

 感染症の種類は多岐にわたります。しかし、専従スタッフや感染症科そのものがない大規模病院も少なくないのが現状です。

 近年は、世界中から日本に持ち込まれる輸入感染症の対応、薬剤耐性(AMR)対策が差し迫った課題となっています。日本の感染症医療を国際水準に引き上げるためにも、私たちがロールモデルを示す必要があると考えています。

―感染制御部の実績は。

 大学病院の役割として、質の高い感染症診療機能が必要とされています。そこで、2003年から感染症コンサルテーションを開始しました。

 2007年に感染制御部が設置され、全診療科を対象に、血液培養陽性(菌血症)患者に関する主治診療科への診療支援、感染症の診断と治療に関するコンサルテーション診療を行っています。

 チームは私を含めて医師が3人、専従看護師と薬剤師が各1人の合計5人で、感染症コンサルテーションは年間約700件に上っています。

 2017年には、感染制御部が「第1回薬剤耐性対策普及啓発活動表彰」で第1回厚生労働大臣賞を受賞。10年にわたる取り組みを評価いただきました。

―感染症診療を始めるきっかけは。

 1997年に、呼吸器疾患の研究で留学していた米国から佐賀医科大学(当時)呼吸器内科に戻ってきた際、大学病院内の入院患者の血液培養陽性の検査状況が気になりました。

 そこで、3年かけて全診療科を検証。すると、診療科によって抗菌薬の使い方がまちまちで、感染症診療が標準化されていない実態が分かってきました。

 そこで、学長と病院長に「院内全体を取りまとめる感染症診療部門を設置すべきだ」と提言したのがきっかけです。

 2000年当時、全診療科に介入して専門的な感染症対策・診療に取り組んでいる病院はほとんどありませんでした。ただ、感染症診療のレベルを高めるには、各診療科の協力が不可欠です。専門部署を中心に、良好なコミュニケーションを図ることが、何よりも重要だと思います。

―後進の育成について教えてください。

 医学分野の教科書がすべて母国語でそろっているのは日本だけです。世界に通用する環境が必要だとして設置されたのが、国際医療学講座で、私が医学部3年と4年生に英語で臨床医学の講義を行っています。

 現在では、初期研修医の8割が感染症診療を選択、5年間で約400人に上っています。感染症診療の基本を学んだ医師は、どの診療科を専攻するにせよ、所属先の医療機関で、感染症対策の底上げに貢献していると信じています。

 後期研修で感染症専門医を目指す若手医師が増えているのは心強いですね。

 どの病気も、社会の営みや貧困などと密接に関係しています。感染症医は、今後、どのような感染症が増えてくるかを見極め、病気だけでなく社会の混乱や不安、恐れをどうすれば防げるか、現代社会の特徴や地球環境、国民性にまで視点を広げることが大切だと思っています。

佐賀大学医学部 国際医療学講座 臨床感染症学分野
佐賀市鍋島5―1―1
☎0952―31―6511(代表)
https://www.hospital.med.saga-u.ac.jp/icpc/

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