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感染拡大を未然に防ぐ 豪雨災害支援にも尽力

感染拡大を未然に防ぐ  豪雨災害支援にも尽力


病院長(しまだ・しんや

1980年熊本大学医学部卒業。米NIH国立癌研究所主任研究員、
熊本大学大学院消化器外科講師などを経て、2006年から現職。熊本大学医学部臨床教授兼任。

 全世界に甚大な影響を及ぼしている新型コロナウイルス感染症。未知の脅威に対し、地方の医療機関はどのように対応してきたのか。感染症第二種指定医療機関である熊本総合病院の島田信也病院長に、熊本県に甚大な被害を出した「令和2年7月豪雨災害」の状況と合わせ、取り組みを聞いた。

─新型コロナの対策は。

 2013年に新築した際、感染症指定医療機関としてハード面を整備。発熱外来は別にし、誰とも接しないよう動線を分けました。中等症用は43床を確保しており、陽性なら別のエレベーターを使って直接指定病床に行けるように設計。重症用の4床も隔離、減圧しています。もちろん人工呼吸器、ECMOも稼働できるよう準備しています。

 国内での流行初期に市職員から相談を受けた際、「流行地域からの移動、帰省などをきちんと避けさえすれば感染は起こらず、地域は守られる」という趣旨の話をしました。東京などの感染拡大地域から来た人に対しては2週間、実家やビジネスホテルなどに自主滞在してもらう提言もしました。
 当初はとても驚かれましたが、自治体も協力して水際対策に力を注いでくれました。感染予防を呼び掛けるA4のパンフレットを作製して全戸に配布。町内会や隣組など地域に根差したコミュニティーの理解を得ながら協力の輪を広げていきました。

─対策の効果は。

 陽性者が出たケースを想定して準備するだけでも相当な人的・物的・経済的・時間的なコストが費やされますし、風評被害も起こってしまいます。当院も外来・入院ともに約25%減、数で言うと外来が550人から400人、入院も400床から300床を切る水準に減りました。

 今はSNSの時代なので、感染症指定医療機関というだけで事実と異なる書き込みをされることもありました。また、今は陽性者がいなくてもいずれ収容されるだろう…と推測され、「危うきに近寄らず」という行動を取られてしまうのではないでしょうか。

 今まで250例以上のPCR検査を実施しました。当初は4日以上37・5度超の方、高齢者と合併症のある方は37・5度超が2日間ある方を対象としていました。ところがそれでは細菌性の例が除外できず、感染拡大の原因になる可能性も排除できません。そこで考え方を変え、風邪症状があり血液検査とCTでウイルス性肺炎が疑われる方としました。7月下旬から「GO TOキャンペーン」が始まり、由々しき事態を招いています。まずは各県内でのキャンペーンにとどめ、様子を見ていくべきだったかと思っています。

─豪雨災害の影響は。

 熊本県の感染症対策専門家会議で事前に想定していたことが生きています。現状では熊本県として、心苦しいのですがボランティアを県外から入れないようにしています。これは極めて重要なファクターで、外部からの流入がなければ問題はないわけです。

 同時に被災地に対する人材派遣の支援も進めてきました。災害を受けた人吉市の看護師24人が通勤困難の状態になったので、JCHO(地域医療機能推進機構)に投げかけて、派遣協力を呼び掛けました。九州地区の14医療機関のすべてから快諾をいただき、速やかな支援につながりました。当院からも看護師4人を派遣しています。

 同時に、被災地の医療機関に入院していた方、被災された住民の方を受け入れています。ドクターヘリや救急車などの輸送手段もフル活用し、全職員で取り組みました。

 このような状況で、医療関係者が新型コロナに感染をしてしまうと大変な事態に発展するリスクをはらんでいます。一般の方よりも、さらに厳重な自己管理を求めて、しっかり対応できたと感じています。

独立行政法人地域医療機能推進機構 熊本総合病院
熊本県八代市通町10─10
☎0965─32─7111(代表)
https://kumamoto.jcho.go.jp/newera/

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