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感染対策を徹底 コロナ禍の医療提供を模索

感染対策を徹底  コロナ禍の医療提供を模索

社会医療法人雪の聖母会 聖マリア病院
島 弘志 病院長(しま・ひろじ)

1980年山口大学医学部卒業。久留米大学医学部外科学講師、
聖マリア病院副院長、同救命救急センター長などを経て、2009年から現職。
日本病院会副会長兼任。

 「コロナ禍の今、病院は分岐点にいる」と語るのは、聖マリア病院の島弘志病院長。病床数1097床、福岡県筑後地域の急性期医療を担う同院は、徹底した新型コロナウイルス感染症対策を講じてきた。対応や経営面での変化はどうだったのだろうか。

─新型コロナへの対応は。

 2020年2月下旬に対応協議を開始。3月2日には対策本部を立ち上げ、院内の状況や外部の情報を会議で共有してきました。

 2種感染症の医療機関として6床指定を受け、呼吸器内科のフロアに陰圧室を設けています。県内に感染者が増えた時点で、呼吸器内科の1フロア39床を6床は陰圧室に、多床室は全て個室のコロナ専用病床16床とし、4対1配置のHCU()として臨時的に届け出をしました。

 重症患者に対応する集中治療室は6床使う形にして、実際に挿管をして人工呼吸器やECMO(エクモ/体外式膜型人工肺)を使用する患者さんに2床、どうしても必要な時には最大3床使おうと考えました。実際に専用病床が全て使われることはありませんでしたが、16床中14床までは使用しました。

 当院には救命救急センターがありますが、このような状況にあっても、年間1万台以上の救急車の受け入れをストップすることは、現実的に考えられません。救急対応する医師や看護師はPPE(個人用防護具)をきちんと使用し、症状から新型コロナ感染が疑われる患者さんに抗原検査を行うことを徹底した結果、2021年3月末現在、院内での集団感染は全く起きていません。感染制御の専門家である副院長を筆頭に、感染症科と呼吸器内科の先生が協力して対応してくれています。

─経営面での変化は。

 2020年4月に各学会と厚生労働省から不要不急の手術延期、特定の検査の延期に関する通達が出ました。その対応や人間ドックの受け入れ中止などで、医療の収入は減少し、5月はさらに悪化しました。

 当院では、感染対策を徹底しつつ、きちんと医療を提供する方針を固めました。院内感染がゼロであること、徹底した対策を行っていることを連携推進室から近隣の医療施設にアナウンスしたところ、紹介数が戻ってきました。一方で、小児科や耳鼻咽喉科、眼科、歯科は紹介、救急の来院ともに減る現象が続き、里帰り出産の減少で産科は激減しています。

 職員への対応としては、2021年3月から、新型コロナの患者さんに接する可能性のある看護師や医師、事務職員には、勤務ごとに危険手当をプラスして支給しています。頑張っている人には対価を支払いたいという気持ちでしたね。

 医療機関への救済措置がない状態だった時に、三つの病院団体で病院の経営状況の調査を行ったことが、国会の補正予算につながりました。協力いただいた病院の方々に、大変感謝しています。

─今後について。

 同年4月から患者家族サポートセンターとして、入退院や病床管理、訪問看護部門でデータ共有するシステムを立ち上げます。それぞれの部門での情報を確認する仕組みから、スケジュールを全て把握した形で、コロナ禍でも安心して入院できる仕組みをつくります。事務部門では、RPAを導入して業務効率化を図ります。医療従事者向けにワクチンの接種も始まり、一般の方への接種を見越した準備も進めています。

 現在はIoTやAIなどの技術を使って、働き方を変えていく起点に立っているのではないかと思います。オンライン診療が時限的に進められ、国はオンライン診療を恒常的に行う意向があり、9月以降に中央社会保険医療協議会で議論が始まると思います。環境の変化に合わせて、われわれも対応しなくてはならないと考えています。

社会医療法人雪の聖母会 聖マリア病院
福岡県久留米市津福本町422
☎0942─35─3322(代表)
https://www.st-mary-med.or.jp/

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