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愛媛から発信する健康維持 産学連携で予防医療に挑む

愛媛から発信する健康維持  産学連携で予防医療に挑む

教授(いがせ・みちや)
1991年愛媛大学医学部卒業。
公立学校共済組合近畿中央病院循環器内科、米ウェイクフォレスト大学留学などを経て、
2019年から現職。愛媛大学医学部附属病院 抗加齢・予防医療センター長兼任。

 医薬・食用ゼラチンの製造・販売などを手掛ける新田ゼラチン(大阪府八尾市)による寄附講座「抗加齢医学(新田ゼラチン)講座」が開設されてまもなく1年。愛媛大学医学部附属病院の抗加齢・予防医療センター長も兼任する伊賀瀬道也教授に、講座の特色や研究内容を聞いた。

─どのような講座ですか。

 目的は健康寿命の延伸です。特にフレイル予防に関する研究のため、2019年4月に開設されました。

 抗加齢・予防医療センター(AAC)を中心に、学内や企業と連携した横断型の臨床研究を行っていく方針です。現在は私1人ですが、今後は大学院生の受け入れや、老年病専門医の育成なども担っていこうと考えています。

 寄附元の新田ゼラチンは、食品や医療用素材などを扱う東証1部上場企業です。自社で開発した低分子コラーゲンペプチドについて広く研究しており、私は2015年、同社と血管弾性について共同研究を行いました。

 同社の低分子コラーゲンペプチド2.5グラムを3カ月間摂取したグループは、プラセボ群と比較して動脈硬化の指標であるPWV(脈波伝播速度)が有意に改善されるという結果を「バイオサイエンス・バイオテクノロジー・アンド・バイオケミストリー」(2018年)に掲載しています。

 今後もより緊密に共同研究を行えるよう本講座の開設を提案され、まずは5年間、資金提供していただく流れです。新田ゼラチンは、愛媛出身の実業家、新田長次郎氏が始めた事業がもとになった会社です。〝故郷〟への支援はありがたいですね。

―コラーゲンの働きについて。

 これまで「コラーゲンを飲んでも健康効果はない」というのが通説でした。

 最近の研究により、経口摂取したコラーゲンの一部はジペプチドやトリペプチドの状態で血中を循環し、線維芽細胞や骨芽細胞などを刺激したり各種のサイトカインを放出させたりすることが分かってきました。そこで、吸収性の良いコラーゲンを開発してその効果を調べる研究が、世界中で行われるようになっています。

 私たちの研究室では、これらにはACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害作用があること、一酸化窒素の産生を増やす可能性があることなどから血管弾性を改善させた可能性を考えています。同様に、肌や関節、骨、血糖、血圧、血管、セルライト、爪、褥瘡(じょくそう)の九つの分野で効果が報告されています。

―研究で使う低分子コラーゲンペプチドとは。

 豚皮や魚、牛などから作られる、吸収性の良いコラーゲンです。原材料によって吸収率や効果に違いがあり、その理由はまだ分かっていません。

 生理活性があるのはプロリルヒドロキシプロリン(PO)やヒドロキシプロリルグリシン(OG)という物質だと考えています。ただし、PO・OGだけ摂取しても効果はなく、その理由も分かっていません。もし解明されれば、医薬品としての可能性が見えてくるかもしれません。

―講座の今後の予定は。

 新しい研究が動き出しています。

 魚由来の低分子コラーゲンペプチドによる認知機能の維持・改善効果を調べる二重盲検試験では副次エンドポイントとして血糖値改善を設定。被験者はAACを受診した人のうち、40歳~80歳で認知症や糖尿病を発症していない約50人です。

 その他、新田ゼラチン以外の企業や、大学内での共同研究にも多数参加しています。クロモジエキス入りの「のどあめ」によるインフルエンザ予防の研究、大豆イソフラボンの代謝産物エクオールに関する研究、河内晩柑に含まれる成分オーラプテンの認知機能維持効果など。今後5年間で、実用化につながる成果を三つほど出すのが目標です。


愛媛県東温市志津川454 ☎089―964―5111(代表)
https://www.m.ehime-u.ac.jp/data/course/list_detail.php?id=20190000000

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