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愛媛大学大学院医学系研究科 地域胸部疾患治療学講座 呼吸器内科医の育成 地域医療の充実を図る

愛媛大学大学院医学系研究科 地域胸部疾患治療学講座 呼吸器内科医の育成  地域医療の充実を図る

教授(のがみ・なおゆき)
1993年三重大学医学部卒業。
岡山大学医学部第二内科(現:血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科)、
公立学校共済組合中国中央病院、国立病院機構四国がんセンターなどを経て、
2020年から現職。

 2020年4月、今治市医師会の支援を受け、今治医療圏や愛媛県の肺がん、循環器診療の発展を目指して開講した。着任した野上尚之教授は「地域医療はライフワークの一つ」と意欲を見せる。

―開講に至った経緯は。

 私の所属は循環器・呼吸器・腎高血圧内科学講座です。この講座を率いる山口修教授は、専門が循環器内科。循環器内科に比べ、呼吸器内科は愛媛県下ではまだまだ充足しないままでした。

 そこで、呼吸器内科医師育成を模索されていたところ、今治市医師会からの支援が決定した、という経緯です。

 実は私自身、学生時代から、「いずれ本格的に地域医療に携わりたい」という願いがあり、地域医療は自分のライフワークの一つと位置付けていました。この講座に携わることで地域に根付いた医療システムを構築し、少しでも貢献できたらと決意を新たにしています。

―講座の目標は。

 大きな目標が二つあります。一つは、呼吸器内科医の育成。愛媛県内では、呼吸器内科医が不足しており、一人でも多くの人材を育てることが急務です。

 二つ目は、呼吸器疾患の診療を地域で完結できるシステムをつくること。例えば、肺がんを専門とする医師は中予に集中しているため、宇和島、新居浜の患者さんは、松山まで約2時間もかけて通院しています。呼吸器内科医が増え地域に充足すれば診断から治療、看(み)取りまで対応でき、患者さんやご家族の負担は減るでしょう。それまでクリニカルパスなどを駆使して地域の先生方と連携し乗り越えていくつもりです。

 地域医療の完結に当たっては、4月の講座スタートと同時に、サテライトである済生会今治病院に、大学から呼吸器内科医を2人派遣いただき、今のところ予想以上に順調に経過しており、既に今治で地域の先生方と連携しながら診断、治療、看取りまでがほぼ完結できるようになりました。定着すれば、これをモデルケースに新居浜、宇和島、西条と、地域に展開していけると思います。

―地域の連携について。

 前任の四国がんセンターで、地域連携クリニカルパスに注力しており、この講座でも引き続き取り組む予定です。パスだけでは決して最良の治療法ではありませんが、呼吸器内科医がいない医療機関の場合、最低限の医療は担保され利益は大きいと思います。大学は、関連病院との連携がスムーズですので、連絡を密に取り合い、気軽に意見交換しながら、パスをより有効に使い、良い連携ができるよう工夫していくつもりです。

 また、地域での緩和ケアへの移行をスムーズにすることも喫緊のテーマです。今治や西条、大洲では連携のシステムがしっかり構築されています。状況をよく把握しているメディカルスタッフの力も借りながらスムーズに連携していければと考えています。

 そのためには、ACP(アドバンスド・ケア・プランニング)について、早い時期から提案し、実践できるような仕組みづくりが必要でしょう。四国がんセンターでの経験を生かし、これから勉強会を始めたいと思っています。

―呼吸器内科医を育てるためには。

 愛媛県内の呼吸器内科患者数は右肩上がり。1人の医師が診る患者数は増え、現場は疲弊しがちです。まずは専門医の数を増やすこと。そのために、若い人たちに呼吸器内科の魅力を伝えることが大切です。

 そこで、肺がん診療の進歩を実感してもらおうと、2020年度から新規抗がん剤の開発治験や共同研究を始めています。数年先のミライの治療法を垣間見ることで若い先生方が呼吸器内科に関心をもってもらえればうれしいです。育成には時間も労力もかかります。覚悟して、地道に取り組んでいきたいと思います。


愛媛県東温市志津川454 ☎️089―964―5111(代表)
https://www.m.ehime-u.ac.jp/school/int.med2/

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