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意見を直接聞き 一歩ずつ精進する

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鈴木 聡 院長(すずき・さとし)

1986年新潟大学医学部卒業。
新潟大学第一外科(現:消化器・一般外科)、
秋田組合病院、鶴岡市立荘内病院副院長などを経て、2019年から現職。

 緩和ケア普及の地域プロジェクトにおいて大きな成果を上げた山形県鶴岡地域。その中心的な役割を果たしたのが鶴岡市立荘内病院の鈴木聡氏だ。当初は多くの苦労を伴ったが、持ち前のチャレンジ精神で乗り越えてきた。今春、院長に就任して以降も、数々の挑戦的な施策を打ち立てている。

緩和ケアと同時に地域連携を強化

 新潟大学卒業後、同大学第一外科(現:消化器・一般外科)に入局した。その理由は、自らにプレッシャーをかけることだった。

 「学生時代、自分の適性は内科だろうと感じていました。友人たちもそう思っていたようです。しかし、最初から得意な分野に携わると慢心が生まれてしまう。不得意なものを克服しながら常に精進したいと考え、外科を選びました」

 1997年、鶴岡市立荘内病院に赴任。外科主任医長を務めていた頃、地域を巻き込んだ大プロジェクトを任される。

 「2008年から3年間にわたって行われた厚生労働省の『緩和ケア普及のための地域プロジェクト』で、当院のある鶴岡地域と隣の三川町が選ばれました。当時、この地域は緩和ケアがまったく普及しておらず、まさにゼロからのスタート。責任者となった私は鶴岡地区医師会と協力しながら、普及活動に着手したのです」

 まずは医療者教育、地域連携、市民啓発などのグループを作り、関係者を集めて合宿などを開催。専門家からのアドバイスも受けたが、1年目は思い通りに進まなかった。それでも地道に取り組んだ結果、徐々に形が見えてきた。

 「2年目以降は役割分担が明確になり、スムーズな連携が取れるようになりました。現在、厚労省のプロジェクトは終了しましたが、今も強固な連携によって緩和ケアが推進されています。他の医療でも密接な連携を築けるようになりました」

プライドを持って働いてもらいたい

 赴任から22年目の2019年春、院長に就任した。これまでの経験から見えた院内の課題解決や、より強固な地域との関係を見据え、二つの指針を掲げる。

 「まずは職員ファースト。医師や看護師だけでなく、当院に関わるすべての人を第一に考えています。私が各職場を巡回して要望や意見を直接聞くほか、良い仕事をした人への『ベストサンクスカード』の郵送も始めました。職員が当院で働くことにプライドを持ち、家族に自慢できるような環境を作りたいですね」

 次に、大切にしたのが市民の声を聞くこと。「2017年から地域のコミュニティーセンターで開催している『ドクター出前講座』では、参加者と私が車座になってトークするコーナーや終了後のアンケートがあります。ここで得た意見を病院変革に結びつけたいと考えています」

医師は病棟を選ばず 看護師は患者を選ばず

 今後の展開として、さまざまな構想を練っている鈴木院長。まずは長年携わってきた緩和ケアをより推進させたいと考えている。

 「この地域の緩和ケアは在宅を中心に考えてきました。今後は当院に専門病床を造ります。レスパイトを含め、患者さんとご家族の選択肢を広げたいですね」

 そしてレディース病棟の開設。婦人科疾患や乳がんの患者が異性の目を気にせず過ごせるほか、病院側にもメリットがある。

 「女性の患者さんを一つの病棟に集約することで、各科の医師も集います。そこでコミュニケーションが活性化し、新たな治療法につながる可能性もあります」

 横断的な診療体制は、限られた数の医師をフルに生かすための方策でもある。「医師は病棟を選ばず、看護師は患者を選ばず、という考えがあります。その方針を変えることなく、今後も進んでいきたいですね」

鶴岡市立荘内病院
山形県鶴岡市泉町4―20 ☎0235―26―5111(代表)
https://www.shonai-hos.jp/

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