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患者ファーストの精神を診療、教育、研究に

患者ファーストの精神を診療、教育、研究に

東京大学医学部附属病院
瀬戸 泰之 病院長(せと・やすゆき)

1984年東京大学医学部卒業。国立がんセンター(現:国立がん研究センター)、
癌研究会(現:公益財団法人がん研究会)有明病院などを経て、2019年から現職。
東京大学大学院医学系研究科消化管外科学教授兼任。

 「東京大学メディカルタウン構想」を掲げた最先端医療の拠点新棟の建設など、ハード面の整備が一段落した東大病院。そのプロジェクトを引き継ぎ、2019年4月から運営のかじ取りを任された瀬戸泰之病院長。より良い医療を実現するために、課せられた次なるテーマとは。

―現状の課題はいかがでしょうか。

 今取り組んでいる課題は、財政状況の改善です。「東京大学メディカルタウン構想」において、新たな建物の建設が続き、財政は決して良い状況とは言えません。

 改善に向けて、KPI(重要業績評価指標)を設定。主な指標として挙げているのは、ベッド稼働率、新規入院患者数、院外処方率といった三つです。

ベッド稼働率については、まず各診療科や病棟の責任者と面談し、課題の把握に努めました。これまでは、「早めに退院」を意識して、取り組んでいたのですが、(診断群分類包括評価)で定められた入院期間を理解しつつ、適正な入院日数を導入。入院日数が大幅に延びたわけではないものの、目標としていた稼働率85%で推移しています。

 当院の病床数は1264床と非常に多く、少子高齢化で、今後は入院者数が減少すると予想されています。そこで2020年4月をめどに、病棟を一つ閉鎖する予定です。これにより、稼働率はさらに良くなるでしょう。

 重要なのが、新規入院患者数の増加です。そこで、着任後に、東京都、千葉県や埼玉県の医師会に出向き、ごあいさつをさせていただきました。これまで当院の病院長としてはこのような活動はあまりしてこなかったかもしれません。しかし、この活動が、新規の入院患者さんのご紹介につながっていくと思います。

 あいさつに伺う中で、「初診の際すぐには受けてくれない」「患者さんを紹介するのにハードルがある」という声をいただきました。すぐに、初診の受付と入院の病床運用のワーキンググループを設置し、改善に取り組んでいます。

―診療や研究で力を入れていきたいことは。

 一つは臓器移植です。肝移植、腎移植、肺移植、心臓移植と、2018年度は年間70件を実施しています。東日本には移植施設が少ないため、当院が果たすべき役割は大きい。移植を希望する方も増えており、この分野の必要性はますます高まると考えています。

 課題はマンパワーでしょう。移植手術は予定できるものではありません。常に移植を実施できる体制を整備することが、東大病院のミッションの一つだと考えています。

 また、全国に11カ所あるがんゲノム医療中核拠点病院としても認定されています。これまでは研究がベースでしたが、「がん遺伝子パネル検査」が2019年に保険適用となり、これまでの研究を、いかに臨床や診療につなげていくかが、課題になってきています。

 2017年に設置された「ゲノム診療部」では、全科横断的な遺伝医療の実施を目的としています。今後は、患者をサポートする認定遺伝カウンセラーなど、人材を確保し、さらなる充実を図っていきます。

―「患者さんファースト」を掲げられています。

 大学病院の最重要ミッションである診療、教育、研究という3本の柱に取り組む方針はこれまで通り変わりありません。

 ただ、長年臨床に携わってきた経験から、より良い医療人を育成する教育も、研究も、すべては患者さんにつながっていると考えています。診療、教育、研究すべてにおいて「患者さんファースト」は共通しているコンセプトだと思います。世界に誇る最高水準の医療を目指すためには、まず「患者さんファースト」を実践しなければならないと考えています。

東京大学医学部附属病院
東京都文京区本郷7―3―1
☎03―3815―5411(代表)
https://www.h.u-tokyo.ac.jp/

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