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患者を支える家族に 医療は何ができるのか

患者を支える家族に 医療は何ができるのか


院長(くぼた・まさゆき)

1979年九州大学医学部卒業。九州大学小児外科研修医、米メイヨークリニック留学、
福岡市立こども病院感染症センター外科医長、九州大学小児外科助教授、
新潟大学小児外科教授などを経て、2019年から現職。

 福岡県第二の都市であり、急速に高齢化が進んでいる北九州市。この地で、小倉南メディカルケア病院は医療と介護をシームレスにつなぐ体制を整え、地域医療を支えている。今年4月に就任した窪田正幸院長に、これまでの歩みと病院の将来像を聞いた。

黎明期にあった小児外科と共に40年

 新潟大学教授として研究・臨床・教育に携わっていた時代には、自らプロ向けのグラフィックソフトを使って独自にテキストを作成したこともあったという窪田正幸院長。「小児外科は、会員数が全国でも2200人程度で、いわばマイナーな分野。小児外科に入ってくるのは子どもが好きな人が多く、人数は少なくともやる気があるので、『一緒にやっていこう』という気持ちで指導していました」と、当時を振り返る。

 1979年、九州大学医学部卒業時に、国立大学初の小児外科講座が開設され
「外科も小児もやりたかったし、新しい面白そうな分野だから」と小児外科の道へ。以来、胆道閉鎖症といった先天性疾患、小児呼吸器、小児泌尿器、悪性腫瘍など広範な領域を専門として歩み、新しい治療法の開発にも積極的に取り組んできた。

 新潟大学教授を退任後、出身大学がある九州で、高齢者を中心とした医療を提供する小倉南メディカルケア病院の経営に携わることになった。

高齢者医療に加えて新たな強みを

 小倉南メディカルケア病院は2013年に新棟へ移転し、移転後は北九州エリアで初の病院と介護老人保健施設の一体型施設としてスタート。グループ内には介護サービスや訪問看護ステーションを有し、低層階に療養病床90床、上層階に介護老人保健施設を併設している。

 就任以来、窪田院長は病床稼働率をさらに上げるため、二つのプランを進めている。第一に、気管切開、呼吸不全といった呼吸器系の患者を受け入れること。第二に、医療的ケア児の療養入院を受け入れることだ。

 「以前は呼吸器の患者さんは診ていなかったのですが、現在はNPPVに使用する機器なども導入して対応しています。また、当院は療養病床なので、高齢者だけでなく小児も受け入れ可能。ベッドや測定機器は新たに必要でしたが、スタッフは輸液管理や気管内吸引、排泄管理は大の得意です」

 北九州市で医療的ケア児に対応できる施設は少ない現状があり、長期入院やレスパイト入院が可能な施設があれば患者や家族の助けになる。そんな確信から、窪田院長は北九州市立総合療育センターや北九州地域医療的ケア児支援ネットワーク連絡会などに足を運び、情報交換に努めている。小児患者の入院は4月以降、すでに数人の実績があるが、今後も保護者の信頼を得るための地道な歩みが必要だと考えている。

信念に従い地域に貢献する病院へ

「理想は、高齢者医療と小児医療のハイブリッド。高齢者の療養医療を一つの大きな柱としながら、子どもやご家族のお役にも立ちたいと考えています。さまざまな年齢層にうまく対応でき、多様な疾患を診られるような病院になれたら」

 特に小児のレスパイト入院については、小児外科医としての強い思いがある。昼夜逆転した子のケアを続ける両親、在宅で3時間ごとに気管吸引をする家族など「冠婚葬祭はもちろん、少しでも休んだり、ほかの子どもと家族旅行に行くことができれば」というケースを見てきた。
 
 「私の医師としてのポリシーは、家族団らんの手助けをすること。病気を経験したけれど、子どもを中心に笑顔で家族団らんができている。そんな姿を思い描いています」。窪田院長が牽引する将来像は、優しく力強いものになりそうだ。

医療法人社団 明愛会 小倉南メディカルケア病院
福岡県北九州市小倉南区葛原東2─14─2 ☎093─473─1010(代表)
https://www.jojinkai.com/kokura/

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