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患者の言葉に耳を傾け、満足度を高め早期復帰へ

患者の言葉に耳を傾け、満足度を高め早期復帰へ

埼玉医科大学総合医療センター 整形外科
教授(さいた・かずお)

1986年東京大学医学部卒業。同整形外科助手、
自治医科大学附属さいたま医療センター整形外科准教授などを経て、2015年から現職。
埼玉医科大学総合医療センター整形外科診療部長兼任。

 外来患者数1日平均2000人という埼玉医科大学総合医療センター。税田和夫教授が率いる整形外科にも年間延べ約3万人の患者が訪れるという。研究成果や人材育成、今後の展望などを聞いた。

─整形外科の特徴を。

 体を支え動かすすべての組織や運動器官の病気やけがを対象に、病態の解明や治療法の開発を行っています。患者さんの年齢層が幅広く、その数が極めて多い点に特徴があります。

 運動器官のダメージは、就学、就労、スポーツなどさまざまな活動に影響を与えるため、できるだけ早い社会復帰が求められます。幅広い治療法の中から最良のものを選択し、治療効果を患者さんに実感いただけること。これが、整形外科医の醍醐味(だいごみ)と思っています。

 しかし、医師といえども患者さんの不安や痛みを実際に感じることは不可能です。できる限り具体的に症状を伝えていただき、医師も治療内容と効果を丁寧に説明することが、患者さんの満足度を高める上で極めて重要です。患者さんの言葉に耳を傾け、心を通わせることが、治療の重要な第一歩と、コミュニケーションを重視した治療に努めています。

 高齢化に伴い、健康寿命を延ばすためのサポートなどの必要性も増しています。日本整形外科学会が提唱する〝ロコモティブシンドローム(運動器症候群)〟を予防するアドバイスドクターとしても活動しており、市民講座などでロコモを予防する食事や運動法などを紹介しています。

─研究テーマは。

 一つは骨粗しょう症による脊椎骨折です。重篤な場合、両脚のまひが起きることがあります。治療法として、師である自治医科大学教授だった星野雄一先生(現:栃木県立リハビリテーションセンター理事長)と共同で〝脊柱短縮術〟を開発しました。この手技はその後、さまざまな医療機関でも取り入れられました。

 現在、手技のさらなる改良に取り組んでいます。患者数が少ないので、急速な進展は望めませんが、個々の患者さんのケースに応じて治療法を工夫し、成果を着実に積み重ねています。

 もう一つは化膿(かのう)性脊椎炎。感染した細菌が血液によって運ばれ、脊椎が化膿する病気です。昔はそれほど知られておらず、私も医師になって5年目に初めて経験したので、それ以前は単なる腰痛として見逃していたかもしれません。

 この病気は増加傾向と言われていましたが、実際に増加しているのか、診断能力が上がったからなのか、説得力のあるデータを示すため全国の保健データを分析しました。

 その結果、死亡率6%という整形外科が扱うものとしては非常に経過の悪い、腰痛とは全く別の病気であることが見えてきました。患者数そのものも増加していることが判明。機会あるごとに学会などで公表し、注意を喚起して病気の存在の浸透に努めました。

 現在、細菌を死滅させる抗菌薬を使った内科的治療が主流になっています。しかし、椎間板にたまった膿(うみ)を除去することが重要で、外科医がこれを適切に行えば、治療成績はさらに向上します。このことを他の医師や患者さんに説明するよう努めています。

─人材育成について。

 整形外科医を養成する専門医研修プログラムを開設しています。当センターの整形外科と救急整形外科の二つが協同で行い、研修医は必ず救急整形外科にも配属されます。そこでの経験がどの病院からも必要とされる、外傷にも強い整形外科医の育成につながる点に特徴があります。

 整形外科医への社会的な期待は増加しています。社会に役立ちたいと考える人には最適なフィールドです。志のある若手医師は当センターの研修プログラムで、整形外科医への扉を開いてほしいと思います。


埼玉県川越市鴨田1981
☎049―228―3411(総合案内)
http://www.kawagoe.saitamamed.ac.jp/01consultation/departments/dep17os/

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