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患者の不安を取り除きチームで支える治療を

患者の不安を取り除きチームで支える治療を

医療法人 創起会 くまもと森都総合病院 西村 令喜 統括副院長(にしむら・れいき)
1976年山口大学医学部卒業、熊本大学第2外科入局。
熊本市立熊本市民病院首席診療部長、同副院長、
くまもと森都総合病院副院長などを経て、2015年から現職。

 熊本県外からも多くの患者が訪れるくまもと森都総合病院の乳腺センター。その設立に関わり、これまでに多くの乳がん患者の治療に当たってきた西村令喜統括副院長に、時代と共に変わる乳がん治療、医療者としての在り方ついて、話を聞いた。

―乳腺センター開設から4年。

 市民病院から移ってきたのが2015年4月。念願であった乳腺センターを実現できる環境がある「くまもと森都総合病院」に、一部の患者さんも一緒に移ってきました。

 乳がんの患者さんを5000人診てきましたが、気になっていたのが診察や検査の不便さ。診察室、マンモグラフィー検査、超音波検査、細胞診検査などが別々にあり、患者さんが何度も着替えなくてはならないなど、不自由がありました。

 乳腺センターでは、広いスペースが確保でき、待合室や相談室、検査室などが一つの部屋の中にあります。利便性が向上したことで、受診を希望する患者さんもさらに増えました。

―乳がんの患者の傾向は。

 2014年の調査で11人に1人の割合。患者数は増加傾向にあると言われています。当院における昨年1年間の乳がん手術数は400人超。毎週8人〜10人を手術している計算です。

 他のがんに比べて、若い人が多く、ピークが40代後半と60代前半。欧米は60代が多いのですが、なぜか日本を含めアジアでは、40代が多いのが特徴です。

 有名なタレントさんなどの影響で、受診率も2割〜3割増えている印象です。検診の無料クーポンが配布されていますので、それをきっかけに検診に来て、見つかることも少なくありません。早期発見できるケースは、確実に増えています。

―現在の治療法は。

 がんの性質に合わせた治療を行っています。乳がんの7〜8割は、女性ホルモンの影響が大きく、その場合はホルモン治療が有効です。HER2型については、HER2を抑える治療。進行が早いがんは、抗がん剤がより効きます。

 昔の選択肢は乳房の切除でしたが、今はさまざまな方法があります。手術の前にがんを小さくして乳房を残す方法や、乳房再建術もあります。分子標的治療も広まってきています。いろいろな組み合わせの治療を、患者さんと相談しながら行っていく時代になっています。

 最近は、米国の女優さんで話題となった「遺伝性乳がん卵巣がん症候群」が話題です。血液検査で調べることができ、薬剤も開発されました。

 乳がんは、10年以上たって再発する場合があります。ただし、性質を見極めることで、いつごろ再発するかまで分かってきました。

―どのような取り組みを。

 チーム医療で取り組んでいます。診察室で医師が話を聞くだけでは限界があります。診察の前後に看護師が話を聞く、薬を渡す時に薬剤師が話す、マンモグラフィーや超音波の時に技師が話をする。情報をみんなで共有し、チームとして、患者さんの不安を取り除くようにしています。

 院内には、「チーム医療研究会」があり、新しい治療の勉強はもちろん、一人一人の患者さんについての情報を共有。この患者さんにはどのような治療や対応がいいのか、みんなで話し合っています。

 さらに、理学療法士や栄養士、医療ソーシャルワーカー(MSW)、腫瘍精神科の医師も含め、病院全体で患者さんを支えています。

 以前であれば、医師が治療方針を決めていました。今は、十分な説明のもとに、医療従事者と患者家族とが情報を共有し、相談しながら治療法を決める時代です。〝チームで支える〟ということは、人間としてどう接するべきなのか、そこにつながっていくと思っています。

医療法人 創起会 くまもと森都総合病院
熊本市中央区大江3―2―65
☎096―364―6000(代表)
https://www.k-shinto.or.jp/

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