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患者に寄り添い術式や治療法を選択

患者に寄り添い術式や治療法を選択

外科学講座 呼吸器外科
羽生田 正行 教授(はにうだ・まさゆき)

1981年秋田大学医学部卒業。
市立甲府病院、米ワシントン大学留学、信州大学医学部附属病院講師などを経て、2003年から現職。
愛知医科大学副学長(特命担当)兼任。

 2003年4月に開設された愛知医科大学外科学講座呼吸器外科。羽生田正行教授は、初代教授として、教室の黎明期を支え、発展に尽力してきた。肺がん手術をはじめとするこれまでの歩みと、これからの呼吸器外科の果たすべき役割について、話を聞いた。

―特色をお聞かせください。

 何もないところからのスタートだったので、まず教室をつくるところから始めました。最初はなかなか医局の人数が集まらなかったのですが、次第に卒業生が入局してくれて、ようやく充実してきました。

 現在は、2人の特任教授が中心となり、それぞれの領域で活躍し、教室の発展に尽くしてくれています。

 沼波宏樹特任教授は、肺がんや気胸が専門分野でロボット支援手術などの技術的な分野を得意としています。矢野智紀特任教授は、肺がんや縦隔腫瘍、胸腺腫などの研究業績がすばらしい。私が病院長時代に多忙のため手術ができない時に、2人が頑張ってくれて、手術件数は、年間240例を超えるほどになりました。
 
 開設以来、ずっと大切にしてきたのは、病気を診るのではなく「患者さんを診る」ことです。手術の目的の一つは、術後、患者さんが楽しく生活できるようにすること。患者さん一人ひとりを診て、人生の中で今どのような状況で、どのようなステージにあるのかをきちんと把握し、どのような治療を選択するのが良いのか、どんなふうに役立つのかを考えられる医師を育てていけたらと思っています。
 
 中には、個人的な事情から手術を拒まれる方もいらっしゃいます。それを理解せず、ただ一律にガイドラインに沿って方針を決めてしまうと、問題が起きることがあります。
 
 肺がんの患者さんは以前よりも高齢化し、加齢に伴う個人差も大きくなっています。患者さんをよく観察し、その人生の裏側にあるものや生活環境を考慮し、治療の方針を決めていくという努力が必要です。患者さんと相談しながら、人生に寄り添える医師になってほしいと思います。

―ロボット支援手術に積極的に取り組まれています。

 2018年から縦隔腫瘍や胸腺摘出術に対して、手術支援ロボット「ダビンチ」を取り入れています。ロボット手術は、胸腔鏡下手術では難しかったさまざまな角度・方向からの手術操作が可能となり、思った以上の成果を得られたことから、積極的に取り入れるようになりました。
 
 ただし、すべての手術でロボットを活用すれば良いというわけではありません。症状によっては胸腔鏡下手術が良いなど、患者さんとって、どの術式が適しているのかを選ぶことが大切です。さまざまな選択肢を持ち、患者さんに寄り添って判断できる医師の能力を高めていくことが、何よりも重要だと思います。

 

―今後の抱負は。

 地域の医療機関と連携し、患者さんを地域全体で診ることのできる医療体制をつくりたいですね。そのためには、大学病院でないとできないこと、大学以外で担当したほうが良いことを見極めなければなりません。
 
 さらに、発病から診断、治療、経過観察など、患者さん一人ひとりの状況を地域の医療機関が把握し、患者さんを見守っていくことが必要です。そのために、開業医の先生との関係をもっと密にしていきたい。良い地域医療を築いていかなければ、大学としての発展もないでしょう。
 
 学内においては、外科と内科が協力してしっかりとしたフォロー体制を、より一層充実させたいと思っています。高齢化が進むことで、高齢者の方が病院に来ることも難しくなってきます。地域の医療機関との連携がうまくいくことで、地域医療全体がもっと発展できるのではないでしょうか。

愛知医科大学 外科学講座 呼吸器外科
愛知県長久手市岩作雁又1―1
☎0561―62―3311(代表)
https://www.aichi-med-u.ac.jp/su06/su0607/su060703/15.html


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