琉球大学大学院医学研究科 胸部心臓血管外科学講座
古川 浩二郎 教授(ふるかわ・こうじろう)
1988年佐賀医科大学医学部(現:佐賀大学医学部)卒業。
米ベイラー医科大学、佐賀大学医学部胸部・心臓血管外科准教授、
国立病院機構九州医療センター循環器センター部長などを経て、2020年から現職。
恩師の勧誘によって心臓血管外科の道へ
生まれは福岡市。父親が勤務医という環境で育ち、自然と医師を目指すようになった。佐賀医科大学医学部(現:佐賀大学医学部)へ進学し、同大学の胸部心臓血管外科教室に入局する。
「当時の心臓血管外科は、かなり厳しい世界。誰でも簡単に進める道ではないと認識していました。私自身、学生時代に医師の手術を見て〝聖域〟のようなものを感じ、自分が立ち入っていいのかと感じたほどです」
ところが、ある人物の誘いによって、聖域への道が大きく開かれる。
「大学で野球部に所属し、一生懸命取り組んでいました。その姿を見ていた当時の教授である伊藤翼先生に、『医局対抗野球で勝ちたいから入局しないか』と勧誘していただいたことがきっかけです。ただ、これは表向きで実際には他の理由もあったようですが、いずれにせよ先生とのご縁で心臓血管外科医としての人生がスタートしました」
地の利を生かしつつ新しい風を起こす
2020年9月に琉球大学大学院医学研究科胸部心臓血管外科学講座の教授に就任する。沖縄県で医療に携わるのは初の経験。就任前は「島しょ県だから難しい部分があるのでは」と思っていたが、実際の診療・手術などにおいて、ほぼ問題ないという。
「地理的に離島が多いことは、医療面でマイナスだと考えがちかもしません。しかし、これをプラスに捉えたい。本来、沖縄県は他県よりもまとまりやすい地域だと考えています。県全体で一丸となり、より良い医療を提供したいと思っています」
教室全体の印象については「みんな人柄が良く、非常に仕事をしやすい」。この環境で、これまでの特徴や強みを維持しながら、新たな風を吹き込みたいと意気込んでいる。
「最先端の治療を積極的に取り入れています。特に経カテーテル大動脈弁置換術、大動脈ステントグラフト、重症心不全に対する人工心臓治療などで多くの実績を重ねています。今後はライフワークである大動脈弁形成術、閉塞(へいそく)性肥大型心筋症に対する手術にも力を入れたいと思います」
研究・教育面でもさまざまな施策を考えており、中でも重視しているのが教育の基本方針だ。
「学生や若い医師に対しては、何よりも患者さんの立場になって物事を考えるよう伝えたいと思っています。恩師である伊藤先生は『患者さんと共に喜び、患者さんと共に泣け』とおっしゃっていました。この意志を受け継ぎ、後進の育成に努めていきます」
自由に意見できる風通しの良い組織へ
理想とする教室の運営について、〝風通しの良い組織づくり〟を掲げる。
「医局員は、意見があったとしても、なかなか言い出せないことが多いと思います。しかし、この教室では、自分の意見を明確に伝えてほしい。そのために医局員たちと密に接して、風通しの良い組織をつくりたいと思っています。それぞれが個性を十分に発揮しつつ、同じ目標に進む教室を目指していきます」
外科医として手技を磨くと同時に、全人的な成長を促していきたいと語る。
「外科医はいずれメスを置く時期が来ます。本当に必要とされる医師とはどうあるべきなのか、全人的な教育も必要であると感じています。私も未熟ですので、医局員と一緒に成長していきたいと思います」
琉球大学大学院医学研究科 胸部心臓血管外科学講座
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