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性暴力被害者への支援力を地域で底上げしていく

性暴力被害者への支援力を地域で底上げしていく

ふじたみつえクリニック
藤田 光恵 院長(ふじた・みつえ

1979年京都府立医科大学卒業。京都第一赤十字病院、
九州大学医学部附属病院(現:九州大学病院)心療内科、関西医科大学心療内科学、
社会医療法人西陣健康会堀川病院などを経て、2003年から現職。

 心療内科を柱にした、ふじたみつえクリニックを2003年に開設。内科医の経験を生かし、体と心の両面からのアプローチで診療に当たる。2015年ごろからは、性暴力被害者のサポートにも取り組んでいる。

―性暴力被害者のサポートに当たっています。

 性犯罪、性暴力の被害者の支援を、各機関が連携しながら包括的に実施しようという狙いで、都道府県に最低1カ所「ワンストップ支援センター」を設置することが国の方針で決定されました。相談機能などをセンターに集約することで、被害者の負担をできるだけ少なくしながら、心身の回復への道筋を見つける狙いがあります。

 京都府では2015年に、府が民間団体ウィメンズカウンセリング京都に運営を委託する形で京都性暴力被害者ワンストップ相談支援センター「京都SARA(サラ)」を設立。行政、医療機関、警察、弁護士会、民間団体などが連携しながら支援活動に取り組んでいます。

 被害を受けた方の中で、医療的ケアが必要な場合は、京都SARAや警察などからの紹介で当クリニックを受診。被害を受けて3カ月以内での受診が多いのが、その特徴です。

―性暴力被害者へのカウンセリングについては。

 性暴力被害は、女性だけでなく男性やLGBTの方、子どもなども被害に遭う可能性があることを認識しておく必要があります。

 また、性暴力の被害者の二次被害も課題です。性暴力の被害者が勇気を出して相談をしても「なぜ、そんなところに行ったの」「なぜアルコールを外で飲んだの」というようなまるで被害者を責めてしまう発言を家族や医療者がしてしまうこともあります。

 性暴力の被害者は特に自責感情が強い。急性期の対応が不適切な場合、その後の回復にも影響を及ぼしかねません。

 また、「加害者が知り合い」というケースが、7割から8割というデータも。知人を訴えにくいために、被害を明らかにするのが難しいという問題も少なくありません。

 京都SARAができてから、急性期治療が必要な性暴力被害者の方が増加しています。逆に言えば、これまでは被害を受けても相談する場が分からなかったのかもしれません。ようやく明らかになってきた性暴力の被害は、氷山の一角ではないでしょうか。

 当院でも被害を受けて数年後、数十年後にPTSDなどの症状で受診されるというケースがあります。そのような事態を少しでも避けるためにも早期の治療の重要性を感じています。

 このためには、性暴力に対する地域の支援力の底上げをしていくことが重要だと考えています。

 京都SARAのようなワンストップ支援センターと医療機関との連携はその一つ。医療者に対して、各地の支援センターがどのような活動をしているのか、情報を発信していくことが鍵になるのかもしれません。

 また、急性期の被害患者に早期対応できる精神科、心療内科の施設を増やすことも課題です。特に若い世代の医師に性暴力被害者の診療を積極的に引き受けてくれるように働きかけたいと考えています。

―京都SARAの立ち上げから関わられています。

 さかのぼると、学生時代から社会的な問題に興味がありました。それらを解決したいという思いから医師を志し、当初は内科医として地域医療へ。患者さんと接するうちに体の症状と心の問題が密接に結びついていることに気付き、内科から心療内科に軸足を移すことになりました。

 女性の患者さんの診療では、女性が社会的に置かれている立場など、社会的な問題にも目を向ける必要があります。京都SARAの活動は、これまでの経験がすべて生かされているように感じます。

ふじたみつえクリニック
京都市中京区二条通寺町東入榎木町95―1 延寿堂第2ビル4階
☎075―211―8466
http://fujita-m-clinic.com/

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