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急速に高齢化する地域の中で一層の連携強化を

急速に高齢化する地域の中で一層の連携強化を

JR九州病院 古郷 功院長(ふるごう・いさお)
1988年九州大学医学部卒業。
松山赤十字病院、九州大学医学部附属病院(現:九州大学病院)
北九州市立医療センター、JR九州病院内科部長などを経て、2019年から現職。

 1917年に設立された「門司鉄道病院」を前身とするJR九州病院。現在は九州旅客鉄道グループでありつつも、地域に開かれた病院として親しまれている。今年4月に就任した古郷功新院長が目指す、医療を通した「安心して暮らせる地域づくり」とは。

早期発見、早期治療を目指して

 古郷功院長は1963年生まれ、北九州市小倉北区出身。九州大学医学部で学び、内科医として膠原(こうげん)病、リウマチを専門に臨床に取り組んできた。

 「大学を卒業した頃は膠原病、全身性エリテマトーデス(SLE)が専門でした。患者さんとしてはリウマチが圧倒的に多く、生物学的製剤が登場したこともあり、リウマチに多く関わるようになりました」

 JR九州病院に着任してからの10年は、リウマチの早期発見と治療に力を入れてきた。昨年7月までに996人のリウマチ・膠原病の新患を受け入れ、発症6カ月以内の初診率は40%超だ。「早期発見・治療は大きな流れですが、これほど早くできているのは珍しいようです。多くは、整形外科の開業医からの紹介。こちらからあいさつに伺うなど信頼関係の構築に努めた結果、良いサイクルになっていると思います。早期の患者さんが、これだけ集まってくるのは、地域の先生方のおかげです」

高齢化する地域の中で

 病院のあるべき姿を、どのように考えているのか。「前院長が療養型から急性期病院への転換を図りました。現在は消化器、内科、外科、整形外科など急性期にかなり強みがあります。一方で、高齢化に対応した地域包括ケア病床60床を備えたケアミックス病院でもあります。また、門司区には循環器科でPCI(経皮的冠動脈インターベンション)ができる施設が1カ所なので、循環器内科に医師を迎え、強化したいですね」

 JR九州病院がある北九州市門司区の人口は約9万8000人、65歳以上の高齢化率は36%程度。長年診てきた患者が高齢になれば、必然的に介護や地域の現状にも目を向けざるをえない。

 「介護施設は増えてきていますが、数は十分ではない。寝たきりになったら行き場がなくなってしまう高齢者も出てきます。困っている高齢者のためにも、急性期を強みとしながらも、地域包括ケア病棟をはじめ、地域密着型の病院である必要があると思います」

 高齢化が急速に進んだことに、地域が追い付いていない状況だと言う。開業医や介護施設といった地域との連携が、今後の課題になるだろう。

時代やニーズに柔軟に変化していく

 地域のニーズや時代の潮流に呼応して、柔軟に変化し続ける姿勢。その背景には、「本当に守り続けたいことがあるなら、環境に合わせて自ら変わらなくては、維持できない」という院長の信念がある。

 超高齢社会における運営が求められる中、重要な根幹となるのが経営理念だ。 「当院はJR九州グループの一員で、グループ理念として〝誠実〟〝成長と進化〟〝地域を元気に〟を掲げています。〝誠実〟については、院内や介護施設に向けての勉強会も始めました。〝成長と進化〟は、急性期分野の強化と救急に対してのてこ入れをしていきたいと思っています」

 院内においては、働きやすさ、チームの風通しの良さにまで気を配り、若いスタッフの意見にも積極的に耳を傾ける。一人の医師として働いていた頃から仕事の内容は大きく変わったが、古郷院長に戸惑いはない。

 「対処すべきことは多いかもしれませんが、今やらなくてはならないこと、中長期的にやるべきこと、大きな目標とを分けて考え、時期を意識して取り組んでいきたいと思います」

JR九州病院
福岡県北九州市門司区高田2-1-1 ☎093-381-5661(代表)
https://www.jrkyushu.co.jp/hospital/

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