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急性期病院から 「長く元気に」発信

急性期病院から 「長く元気に」発信

地方独立行政法人山梨県立病院機構 山梨県立中央病院
中込 博 院長(なかごみ・ひろし)
1983年岩手医科大学医学部卒業。スウェーデン・カロリンスカ
研究所留学、山梨県立中央病院がんセンター局長、
同副院長などを経て、2021年から現職。

 「大切にしたいのは、リスペクトして支え合う気持ちです」と語る中込博院長。山梨県の基幹病院として高度医療に注力する病院をどう発展させるのか。展望を聞く。


がんゲノム医療 コロナ禍に能力発揮

 中込院長は、乳腺外科を専門に長年、がん医療に取り組んできた。1999年に山梨県立中央病院に赴任し、都道府県がん診療連携拠点病院である同院のがんセンター局長、副院長などを経て2021年4月、院長に就任した。

 145年の歴史を誇る同院の強みの一つは、がんゲノム医療だ。2013年にゲノム解析センターを開設し、遺伝性乳がん卵巣がん症候群を皮切りに研究を開始。卵巣がんに対し、PARP阻害剤のオラパリブによる治療を保険収載前に始めるなど、「研究から診療へ」の実践を重ねてきた。

 自身もゲノム診療部の一員として携わった経験を持ち、「高い専門性を生かし、患者さんに最大限の貢献ができるよう努めるのが私たちの使命だと思っています」と語る。

 ゲノム解析センターは、コロナ禍でもその能力を発揮したという。「早々にPCR検査を開始し、大量に査できる方法を確立したことで、院内の感染状況を的確に把握することができました。変異株の特定にも役立っています」。論文発表も活発に行っているゲノム分野は、全国に発信できる院の大きなアドバンテージだと捉えている。


山梨の救命支え若手研さんの場に
 
 県内唯一の高度救命救急センターを擁しているのも、特色の一つ。「ドクターヘリなどの設備を充実させ、山梨の救急医療を支えています。消防士の研修の場としても活用されていて、教育面での貢献度も高いですね」

 初期研修医らの研修プログラムの充実にも注力しており、初期研修医約40人、専攻医約10人が研さんを積んでいる。「若い人材が多く集い、活発に活動してくれていることは、病院の発展にもつながるはず。今後もサポートしていきます」

 周産期医療でも、県内唯一の総合周産期母子医療センターでハイリスク症例を中心に年間約700件の分娩(ぶんべん)管理を行い、中心的な役割を担う。 

 「山梨の医療は山梨で完結させる。その意気込みで打ち込んできた歴史が、当院にはあります。私もしっかりと受け継いで発展させていきたいと考えています」


フレイル予防啓発「長く元気に」実践

 「急性期病院の当院は、これまで『早くきれいに治す』を目標に掲げてきました。今後は『長く元気に生きる』というテーマも加えたいですね」と意欲を見せる。

 健康寿命の延伸が社会的な課題となり、同院でも入院患者の高齢化率が高まっている今、急性期病院としてできることは何か―。そこで計画中なのが、「フレイル予防プロジェクト」だ。現在はリハビリテーション科や口腔(こうくう)外科、栄養管理科、入退院センターなどがチームを組んで準備を進めており、手始めにオリジナルのパンフレットを配布して予防の重要性を啓発する。その後、入院患者を対象に実態調査を行って対策を講じていくという。

 プロジェクトを展開する上で大切にしたいと考えているのは、地域との連携で、開業医や地域包括支援センターなどと一体となって取り組むことを思い描く。

 フレイル予防の取り組みは、同院にとっても大きな利点があると捉えている。急性期病院という特性上、若手職員たちが日頃触れることが少ない高齢者の医療を学ぶ機会にしたいという狙いがある。「今、将来に向けて動き出すことに意義がある。病院を挙げて取り組んでいきたいと思います」



地方独立行政法人山梨県立病院機構 山梨県立中央病院
甲府市富士見1-1-1 ☎055-253-7111(代表)
https://www.ych.pref.yamanashi.jp/

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