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急性期医療の拡充を図りさらに地域を支える病院

急性期医療の拡充を図りさらに地域を支える病院


院長(かつもり・たかし)

1984年熊本大学医学部卒業。同附属病院(現:熊本大学病院)第二外科、
国立都城病院(現:国立病院機構都城医療センター)外科、
1996年荒尾市民病院入職。統括診療部長、副院長などを経て、2017年から現職。

 2022年の新病院開院に向けて、動き出した荒尾市民病院。荒尾市で唯一の急性期自治体病院という大きな役割がある中で、新病院にはさらに何が求められるのか。勝守高士院長に、病院の現状、そして荒尾市という地域において今後何が必要とされるのか、話を聞いた。

―地域での役割は。

 荒尾市で唯一の急性期自治体病院として、地元の医師会、消防署と連携しながら、「断らない」を基本にしています。ここは脳卒中急性期拠点医療機関、急性心
筋梗塞等の心血管疾患急性期拠点医療機関ですので、脳卒中や急性心筋梗塞などは3次救急まで可能。それ以外は2次救急という意味で、2・5次救急までを24時間365日受け入れています。

 ここは熊本市、福岡県久留米市のほぼ真ん中に位置し、車での所要時間はどちらも1時間ちょっと。大事故などによる重度の外傷の場合、1時間以内に処置しなければ助かることが難しい、「防ぎ得た外傷死」のタイムリミットを超える微妙な位置にあります。だからこそ、この病院の救急医療の充実は、地域にとって重要だと考えています。

 2009年から、救急専従医を2人配置し、迅速な救命救急を行ってきました。救急搬送数そのものは減少傾向にありますが、重傷者の割合が増えています。これは、昼間や平日は、なるべく開業医の先生にお任せして、重傷者、土日祝日、夜間は当院で対応する役割分担が進んできた結果です。

 2022年に完成予定の新病院では、地域救命救急センター、そして災害拠点病院としての役割をしっかり担いたいと、ヘリポートの設置も予定しています。

―地域がん診療連携拠点病院です。

 がんに関しては化学療法、放射線治療はもちろん、緩和ケアにも早くから取り組んできました。

 腹腔鏡下手術については2004年に導入。導入に当たっては、この手術において実績を持つ大阪赤十字病院の金谷誠一郎先生の手術を、当時勤務されていた姫路医療センターまで見学に行きました。その手術に感銘を受けて、私は40代半ばでしたが、研修医に戻ったかのように何度も練習を重ねました。

 そのご縁から当院初の完全腹腔鏡下幽門側胃切除術は、金谷先生に行っていただきました。その5日後には、当院の医師のみで2例目の手術を実施。この経験により外科医のみならず、麻酔科医や看護師も刺激を受け、研さんを積み続けました。多くの実績を重ね、患者さんの信頼を得たことで、地域がん診療連携拠点病院の指定にもつながったと思っています。

 15年も経ちますが、その患者さんは今もお元気です。患者さんの予後に貢献できることを積極的に取り入れることは、スタッフの意欲向上や病院の評価にもつながることを実感しました。さらに新病院においては、血管内手術、そして将来的にはロボット手術も導入したいと思っています。

―今後の課題とは。

 学生時代にある先生から、がんに関しては「外科医が活躍しない方がいい」と言われたことがあります。確かに、患者さんにとっては手術は負担が大きく、早期発見できれば手術の必要がない。「そんな時代が来ることが望ましい」という意味でした。

 その言葉は今も心に強く残っており、今後は「予防医学」に取り組みたいと思っています。荒尾市は地元医師会と共に、市民が自分の健康を把握するための「あらお健康手帳」の運用に取り組んでいます。また、がん検診の啓発、人間ドックを含めた健診事業については、新病院でも引き続き取り組んでいくつもりです。

 荒尾市は、アクセスの良さから若い世代の流入も期待できる街です。その荒尾市の発展に新病院が貢献できればうれしいですね。

荒尾市民病院
熊本県荒尾市荒尾2600
☎0968―63―1115(代表)
http://www.hospital.arao.kumamoto.jp/

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