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急性期と慢性期を両立 県北地域の中核病院に

急性期と慢性期を両立 県北地域の中核病院に

地方独立行政法人 くまもと県北病院機構
理事長(やました・やすゆき)

1981年鹿児島大学医学部卒業。
米テキサス大学留学、熊本大学大学院生命科学研究部放射線診断学分野教授、
同医学部附属病院(現:熊本大学病院)副病院長などを経て、2019年から現職。

 急性期主体の公立病院と慢性期主体の医師会立病院。くまもと県北病院機構は性質の異なる二つの病院を統合し、2021年3月に新病院「くまもと県北病院」を開業する。統合に際しての課題、高度医療と地域医療の二つの機能をどう展開させるのかを聞いた。

─病院機構設立の経緯は。

 熊本県の玉名地区には、公立の玉名中央病院と医師会立の玉名地域保健医療センターと、二つの公的な病院が存在しています。玉名中央病院は急性期をメインとし、玉名地域保健医療センターは慢性期を担う地域密着の方針で、役割の異なる病院として共存していました。ところが、地域の少子高齢化や建物の老朽化、経営上の問題などさまざまな要素が絡み合い、経営統合されることになったのです。

 2017年に経営統合し、「地方独立行政法人くまもと県北病院機構」が発足したものの、当然二つの病院は勤務のペースも状況も給与体系も違います。そのギャップが大きく、どう一つにまとめるか…が大きな難題でした。お互いの不安を払拭(ふっしょく)するために、会議をはじめ、さまざまなチャンネルで職員と緊密なコミュニケーションを取り、心理的な垣根を取り除くように意識しました。

 従来は別々だった会議も、現在では合同で開催。病院機構の運営会議や最近では新型コロナウイルス感染症対策会議なども一緒に行っています。医師、看護、事務の組織がそれぞれに人事交流を図り、看護部長や事務部長は二つの病院で兼任。2020年4月からは人事も一体的に運用しています。

 このような取り組みを経て、職員全員に「この地区の医療を良くしたい」という相互理解が生まれました。手法や発想が異なっても、共通意識をしっかりと共有できたことでスムーズな運営が実現できるようになっています。現在は、医師会や行政など関係機関との連携も順調です。

─新病院に向けて。

 新病院は二つの病院の両方の性質を兼ね備えています。少々欲張りかもしれませんが、救急を含めた高度医療と、地域医療の2本柱を担うのが基本的なコンセプトです。熊本大学と連携を取りながら、県北地域における中核病院としての役割をしっかりと担いたいと考えています。

 新病院では22の診療科を予定しており、医師数は80人前後となる見込みです。新たに眼科、耳鼻科、歯科口腔外科の3科を新設します。これらの診療科ではこの地区に密着した医療を担ってこられた開業医の先生方との「すみ分け」が必要となるため、私たちは高度医療にフォーカスして展開していくことを考えています。

 これに先駆け、2020年7月からは小児科の夜間や休日対応を含めた24時間診療も、熊本大学の支援を受けながら始めています。

 新病院の立地は、九州新幹線・新玉名駅に近く、アクセスが良好な上、駐車場スペースも十分に確保します。新型コロナウイルス感染症拡大の影響が危惧されましたが、建設は予定通り順調に進んでおり、同年10月には竣工する予定です。

─今後は。

 新病院「くまもと県北病院」は402床と地域の病院としてはかなりの規模の病院になります。高度な医療を提供すると同時に、この地域に密着した医療を提供していきたいですね。

 災害医療に対応できるよう屋上にはヘリポートも設置します。ただ、救急に関しては脳卒中のドクターがやや手薄なので、そこをどうするか。このほかロボット手術の導入なども検討課題となっています。
 職員は非常にやる気を持って取り組んでくれていますし、地域の皆さまの信頼を得て、2021年3月から新たなスタートを切りたいと思っています。

2021年3月に新幹線の新玉名駅前に
開院予定のくまもと県北病院(402床)

地方独立行政法人 くまもと県北病院機構
熊本県玉名市中1950
☎0968─73─5000(公立玉名中央病院)
http://www.nkho.jp/

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