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急性期と回復期・慢性期病院統合で地域完結型へ

急性期と回復期・慢性期病院統合で地域完結型へ


JA長野厚生連 南長野医療センター篠ノ井総合病院
統括院長(こいけ・けんいち)

1975年信州大学医学部卒業。
同小児医学教室教授、同附属病院長、信州大学副学長、JA長野厚生連篠ノ井総合病院病院長などを経て、2017年から現職。信州大学名誉教授兼任。

 病院統合には大きな労力を伴うが、篠ノ井総合病院は2段階に分けてスムーズな統合を実現した。2017年、同じJA長野厚生連の新町病院とまず「業務統合」。そして2019年に「経営統合」し、急性期と回復期・慢性期で明確なすみ分けをして軌道に乗せた。

―2段階統合の理由は。

 ソフトランディングさせるというのが大前提でした。統合する新町病院は、篠ノ井総合病院から車で30分ほどかかる山間部にあり、診療圏の人口が減少の一途をたどっています。また、医師不足にも悩まされていたので、これを解決するのが第一。当院の医師を新町病院へ派遣し、外来診療(循環器内科、総合診療科、小児科、整形外科、リハビリテーション科など)や当直業務を支援しました。
 
 次いで、当院の医師と新町病院医師(院長)による入院患者の診療チームをつくりました。2019年4月からは新町病院待望の常勤医師を送ることができ、2020年の4月には2人に増員します。
 
 新町病院の医師1人が受け持つ入院患者の数は、最も多い時には約35人でしたが、今は25人前後に落ちつきました。医師派遣などの実績が評価され、当院は2018年に地域医療人材拠点病院、2019年へき地医療拠点病院に指定されました。
 
 統合に当たり、当院が急性期、新町病院が回復期・慢性期と明確に役割を分担。新町病院には同じ電子カルテを導入してもらい情報共有をスムーズにしたり、入退院支援の看護師やクラークを増員したりするなどの対応をとりました。
 
 さらに新町病院では、より多くの回復期の患者さんを受け入れられるように、2018年に28床だった地域包括ケア病床を現在は40床にまで増床。事務次長が篠ノ井総合病院から新町病院へ異動し、各種のデータに基づいて方針をしっかり示し、意識改革を促したことが大きかったと思います。私自身、全体的に見て軌道に乗ってきたと感じています。

―現在の状況は。

 医師以外にもさまざまな職種を派遣。新町病院の薬剤師3人のうち1人が産休に入っているので、週2〜3回応援に行っています。放射線技師も3人から2人に減ったので、当院の技師長など放射線技師が拘束当番を受け持っています。

 実は、〝新町病院なら仕事を続けられる〟という職員が出てきたことは、うれしい驚きでした。迅速な対応が求められる急性期病院に勤務し続けると、疲れが出てくることもあります。そのような職員に「患者さんとじっくりと向き合う新町病院に移ってみてはどうか」と提案しました。将来的には最初は篠ノ井総合病院で経験を積み、その後は新町病院と、2病院間を行き来できるシステムをつくりたいと思います。

 また看護師の離職の原因となっている子育てにも貢献したい。病児、病後児を預けられる場がなかったため、「日本一使い勝手のいい病児保育」も立ち上げたいと思っています。

 篠ノ井総合病院は、救急車の受け入れ数が年間4600台を超えています。転院先を探すのが難しい状況の中で、新町病院が回復期を受け持ってくれたことで、機能分担がスムーズに図れるようになりました。

 地域の医療は、できる限り地域内で完結させなければなりません。遠方から入院の場合は、付き添いやお見舞いが大変です。長野県は山が多く、集落ごとに独立しており、険しい山道も少なくありません。身近な場所に病院がある環境をこれからも守っていきたいと思います。

 篠ノ井総合病院では2013年から整備工事を始め、第1期の本館棟建設が2017年に終了。現在は第2期工事の計画を進めています。プライバシー配慮や感染防止などの観点から、新しい病棟はすべて個室にしたいと考えています。

JA長野厚生連 南長野医療センター 篠ノ井総合病院
長野市篠ノ井会666─1
☎026─292─2261(代表)
https://shinonoi-ghp.jp/





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