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急性期から社会復帰まで専門治療を提供

急性期から社会復帰まで専門治療を提供

独立行政法人労働者健康安全機構 総合せき損センター
院長(まえだ・たけし)

1986年九州大学医学部卒業。
下関市立中央病院(現:下関市立市民病院)、
九州大学医学部附属病院(現:九州大学病院)、総合せき損センター整形外科部長、
同副院長などを経て、2020年から現職。

 開設41年目となる2020年9月、院長代理として2年前からセンターを統括してきた前田健氏が院長に就任。総合せき損センターの特徴や診療方針を聞いた。

専門家によるチーム医療を実現

 「当時最先端だった欧米の医療成果を幅広く取り入れ、整形外科医療に貢献した九州大学名誉教授の故天児民和氏の提言により、総合せき損センターは開設されました」

 天児氏はリハビリテーションの可能性に着目し、1964年の東京パラリンピック開催にも尽力した一人。「脊椎脊髄の専門医が中心となって整形外科、リハビリ、理学療法、作業療法、看護など、各分野の専門家を束ねたチーム医療を行うモデル病院の設置を、先生はかねてより構想していました。当センターはその構想に基づいた、急性期から社会復帰まで一貫した専門治療を行う施設です」

 センターに整形外科部長として着任したのが2008年。九州大学整形外科講師を経て米国留学からの帰国直後、芝啓一郎前院長から声がかかり、以後、二人三脚で同センターをけん引してきた。「スタッフと共に病院のベランダで車座になって酒を酌み交わすなど、前院長との思い出は尽きません。体調を崩され、休養中に逝去されたのは2017年。前院長の志を継ぎ、当センターの発展に尽くします」

 生まれは北九州市。「父は整形外科医。柔道7段の祖父は〝骨接前田道場〟を開き、整骨医をなりわいとする傍ら、抜刀術から忍者の手裏剣投げまで、古武道に関わる技の実践と関連道具の収集を行う、この分野では市内一番というほどの有名人でした」と懐かしむ。

各部門が密接に連携

 同センターは、整形外科、泌尿器科、リハビリテーション科のほか、看護部や医用工学研究室など9部門を設置している。

 「整形外科では椎間板ヘルニアや側弯(そくわん)症など外傷以外の疾患を含め、現在まで2万4000例以上の脊椎手術を行っています。最新CT装置『オーアーム』を導入し、ハイリスク手術の安全性向上と、患者さんの体力的な負担軽減にも努めています」

 泌尿器科は排尿障害などの合併症リスクの予防に加え、前立腺肥大など一般的な疾患の診療も行う。急性期を脱した患者の機能回復では、リハビリテーション科が司令塔になる。

 「泌尿器科の治療はレベルが高く、日本泌尿器科学会が専門医教育施設に認定しています。機能回復訓練は理学療法と作業療法から構成され、リハビリ科と直結する中央リハビリテーション部のスタッフが行います。身体機能を補完する各種器具の製作、住宅改修などのサポートを医用工学研究室が担当し、退院後の暮らしを支援します」

長年の診療データを再生医療に活用

 診療経過はすべてデータ化されている。「40年を超えて蓄積するデータの解析により、個々の患者さんの回復程度を予測した治療が実現しています。患者さん本人やご家族が最も心配する予後の見通しも、高い精度でお伝えできています」

 まひした身体機能の回復データは、機能発生の経過として読み替えることが可能だ。幹細胞などから目的とする機能を持つ組織の分化を目指す、再生医療の希少な情報ともなっている。

 「慶應義塾大学医学部整形外科は現在、iPS細胞から分化した神経細胞を脊髄に移植して運動機能を回復する研究を進めています。リーダーの中村雅也教授は当センターのデータを高く評価し、研究に必要な資料として活用されています。私たちの実績が先端医療に役立つことは光栄です」


福岡県飯塚市伊岐須550ー4 ☎️0948ー24ー7500(代表)
https://sekisonh.johas.go.jp/

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