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急性期、回復期、維持期の包括的心リハに取り組む

急性期、回復期、維持期の包括的心リハに取り組む

福岡大学医学部 心臓・血管内科学
三浦 伸一郎 主任教授(みうら・しんいちろう)

1988年福岡大学医学部卒業、1994年同大学院卒業。
米クリーブランドクリニック・ラーナー研究所留学、
福岡大学医学部心臓・血管内科学准教授などを経て、2017年から現職。
福岡大学病院循環器内科診療部長、同心臓リハビリテーションセンター長併任。

 福岡大学病院のメディカルフィットネスセンターは、スポーツ科学部と医学部、病院が連携して運用するユニークな施設。心臓リハビリテーションをはじめ、脳神経疾患、生活習慣病を抱える外来患者の運動療法や精神面のケアに利用されている。そこで、心臓リハビリテーション(心リハ)を統括する三浦伸一郎教授に、その活用状況を聞いた。

―メディカルフィットネスセンターとは。

 医学部とスポーツ科学部を有する福岡大学の特色を生かした施設です。スポーツ科学と医学の科学的根拠に基づいた運動療法を提供する施設はあまり例がないでしょう。センター長は病院長が兼任、医学部、病院、スポーツ科学部が共同運用しています。

 地域連携医療の一環として有効利用していただく目的で、主に外来の心臓リハビリテーションをはじめ脳神経疾患や外傷、糖尿病、メタボなど生活習慣病の改善・回復トレーニングをしています。十分なメディカルチェックの後に専属スタッフの指導のもと、患者さんの状況に合わせたプログラムを組み、運動療法を実施しています。さらに、運動療法に加えて、食事や生活、メンタルまでサポートしているのが特徴です。

―AIやロボットも活用されています。

 2015年4月、同センター内に「HALリハビリセンター」が開設されました。HAL(Hybrid Assistive Limb)は、身体機能の改善や補助、再生するための世界初の装着型ロボットです。例えば下肢に麻痺がある人が「歩きたい」と思うと、脳から筋肉に伝わる生体電位信号を皮膚に貼ったセンサーが感知、意思に従った動作をする仕組みです。

 脳神経外科の「ロボットリハビリ外来」が、脳卒中や脊髄疾患などで、下肢に障害がある方の歩行機能の回復訓練に活用しています。

―心リハとは。

 心リハは運動だけでなく食事療法、生活指導、精神的サポート、教育、医学的所見など、包括的にケアするものです。

 心臓や大血管疾患の手術後の患者さんが対象なので、医師2人、理学療法士5人、臨床心理士と健康運動指導士各1人、看護師、薬剤師、管理栄養士で構成しています。

 入院と外来合わせた心リハは現在、1カ月1500件、1日に50件。早期回復における心リハの重要性が浸透し、増えています。入院と外来の患者さんの状況を見極め、スタッフの質や教育が十分か、プログラムは適正かなど全体を統括管理するのが私の役目です。

 心リハは「急性期」、「回復期」、「維持期」の三つの段階に分かれます。心筋梗塞後の状態が良ければ、翌日から緩やかに体を動かすことから始めて体力回復に努めます。「回復期」は、退院に向けて日常生活が送れるようになるためのリハビリ。入院中は新病棟6階のハートセンターで行います。

 退院後の「維持期」心リハは、メディカルフィットネスセンターで行います。外来で週に3回、各1時間の運動療法が主体です。おおまかな内容は30分程度の有酸素運動、20分のストレッチ体操といった運動です。必要に応じて生活習慣や食生活の指導、カウンセリングも行います。

―生涯にわたる心リハが大切なのですね。

 心肺機能の向上やストレス解消に効果がある運動は、心疾患の再発予防になります。「維持期」の心リハは非常に大切なのですが、継続には難しいものがあります。

 入院中は心リハをきちんとやっていたのに、退院すると病院には診察に行くだけ。そうして慢性心不全になる人が増えているのです。心不全の症状を緩和するための在宅支援や、心リハが可能な施設と連携して、生涯にわたってサポートするべく、大学病院として取り組んでいます。

福岡大学医学部 心臓・血管内科学
福岡市城南区七隈7―45―1
☎092―801―1011(代表)
http://www.fukuuni-shinnai.jp/

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