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必要な急性期医療とは 地域に根ざす医療を求めて

必要な急性期医療とは 地域に根ざす医療を求めて

   佐々木  恭子 理事長(ささき・きょうこ)
1981年日本大学医学部卒業、神戸大学医学部精神神経科教室入局。
医療法人高明会(現:社会医療法人渡邊高記念会)西宮渡辺病院理事を経て、2010年より現職。

 1965年の創立以来、地域の中核病院として急性期医療を担ってきた「西宮渡辺病院」。その実績が評価され2010年には兵庫県内初の社会医療法人に認定された。基本理念である「地域に根ざす医療」への思いを佐々木恭子理事長に聞いた。

―50余年にわたり急性期医療を提供されています。

 私の父である医師の渡邊高が設立した病院で長年、地域密着型の急性期病院として運営してきました。1964年の東京オリンピックの翌年の開設。ちょうど高速道路や新幹線の工事などが実施され、急性期医療の中心は労働災害や交通災害であった時代です。交通事故や建設現場の労働事故が多発し、それに対応していました。

 1995年の阪神淡路大震災は私たちにとって転機となりました。この地域は激震地で、当院の近くでも電車の高架と線路が落下するなど大変大きな被害を目の当たりにしました。けがをした患者さんを受け入れる中、病院の責任者としての使命感も強く感じました。

 今誰かがこの地域でけがや病気で倒れて当院に運ばれて来た時、その患者さんを絶対に不幸にしてはいけないということ。つまり急性期医療という一刻を争う場面で、私たちは患者さんやご家族が「この病院に運ばれたおかげで助かった」と思っていただけるような態勢を整えなければならないということです。

 急性期医療の内容は時代とともに変化します。現在私たちは循環器疾患や脳血管疾患への対応に特に力を入れていますが地域に必要とされる医療を提供したいという根本の考えは変わりません。

 そのためにはその時代の医療行政に合った戦略も重要ですので変革は必要です。むしろ根本の理念を変えないために、変革してきたのが当院の歴史だと言えます。

―具体的な取り組みについては。

 日本人の死亡原因はがん、心疾患、脳血管疾患が上位を占めます。しかしがんの場合、進行の度合いにもよりますが、患者さんが住んでいる地域以外での治療の選択肢も考えられます。患者さんは自分自身で病院や医療を選ぶことも可能です。

 ところが、循環器疾患や脳血管疾患の場合は時間との勝負です。地域の急性期医療を担う病院として責任を果たしたいという思いから2006年に西宮市内に西宮渡辺病院に加え、より専門的な医療を提供する「西宮渡辺心臓脳・血管センター」を開設しました。

 心臓血管外科、循環器内科、脳外科・脳卒中センターなどを擁し、ICU、SCU、HCUを含めると108床の病院です。西宮渡辺病院と合わせると現在急性期病床数は約300床になりました。

 循環器専門医をはじめ麻酔科医、臨床工学技士、セラピストなどチーム医療で対応しています。

 また、急性期医療を経た後の在宅支援も私たちの重要な課題。センター内の心不全チームは在宅医療と連携していますし、グループ内には介護老人保健施設やデイケア、心臓リハビリ専門クリニックをつくり、併せてICTを活用しながら地域の医療機関や介護施設との連携を深めて地域を支える体制の構築を目指します。

―力を入れていることは。

 医師不足地域ではない当院にとっても医師確保は決して容易ではありません。法人がどのような理念を持ちどのような医療を提供したいと考えているかを伝えることが求人の第一歩だと考えています。その一つが常に先進的な医療機器の整備をするなど「最新最善の医療に挑戦したい」という医師やメディカルスタッフの思いに応えることでした。次世代型の3テスラMRIの導入もその一環です。

 最近は、私たちの思いを理解してくれる同じ志を持つ医療従事者が集まってきてくれるようになりました。

 医師が増えることで手術件数も増加し、3月には手術室を増室するための工事もスタートしました。

 また、1970年代半ばから院内保育を始めましたが、24時間保育をするなど保育の内容が充実していることも女性医師の入職に結びついていると考えます。最近は脳神経外科や循環器内科、心臓血管外科にも女性医師が増えており、彼女たちが活躍できる場を提供し続けることも私たちの役割の一つだと思います。

社会医療法人渡邊高記念会 西宮渡辺病院
兵庫県西宮市室川町10―22
☎0798―74―2630(代表)
http://www.n-watanabe-hosp.jp/

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