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必要なのは「虚心坦懐」に地域医療を支える覚悟

必要なのは「虚心坦懐」に地域医療を支える覚悟

島根大学医学部泌尿器科学講座 椎名  浩昭 教授(しいな・ひろあき)
1985年島根医科大学医学部(現:島根大学医学部)卒業。
米カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学、島根大学医学部泌尿器科学講座准教授などを経て、2012年から現職。

 地域医療構想調整会議に出席し、助言などを行う「地域医療構想アドバイザー」。島根県担当のアドバイザーの一人、島根大学医学部泌尿器科学講座の椎名浩昭教授に、2025年、そしてその先に向けて取り組んでいること、いま問題となっていることなどを聞いた。

―地域医療構想の現状を。

 島根の問題は高齢者の介護を担う人材が少ない中、いかに円滑に地域包括ケアにつなげていくか、また、いかに医師の偏在を解消していくかというところにあります。

 地域医療構想では、高度急性期、急性期、回復期、慢性期に分けて、必要病床数を推計しています。これまで、病床の内訳は各病院の判断に任されていたのですが、これからは、地域のニーズに合わせて、医療圏ごと、そして県内全域で調整していく必要があります。この病床の采配が、地域医療構想の最も大事で難しいところになってくると思います。

 地域医療の四つの機能分けは、都会のプログラムで行っていることもあり、こちらでいう松江と出雲のような圏域は都会と同じ動向で調節できるのですが、それ以外の圏域については明らかに病床の機能配分が異なります。そこをしっかり考えていかなければなりません。

―アドバイザーの役割は。

 地域医療構想や医療計画などの制度を理解し、医療政策に関する知見を有し、統計などに基づくアセスメントができる。そんな選定要件がありますが、やることは情報を可視化して、皆さんに共有するというシンプルなものです。ただのオブザーバーでもだめ、しゃべり過ぎてもだめで難しいところもありますが、就任後、すでに複数回の会議を行い、県に方向性を報告したところです。地域医療構想の実現は圏域ごとに考えるのが基本ですが、島根県全体で考える視野も必要だと改めて思いました。

―医師の派遣について。

 島根大学医学部附属病院では、3年前に「医師派遣検討委員会」を設置。データを基に、透明性を持った医師の派遣を考えようということで始まりました。しまね地域医療支援センターの協力のもと、毎月第1木曜に開催しています。

 医師派遣を考えるというのは、医師の働き方を考えることでもあると感じます。先日、厚生労働省の医師の働き方改革に関する有識者検討会で、医師の残業時間の上限を年1900~2000時間にするという案が出されたと報道されていました。例外とはいえ、それくらい残業をしないと医療を担えないところもあるというのも事実です。

 ワークライフバランスを大切にしたり、女性の働きやすさを検討したりすることも大事です。同時に、開業医を含めて、医師の配置を適材適所にしていくことも大事。医師の働き方を考えるにあたって、島根県の場合、開業医の役割を考えることは避けられないと私は思います。

 島根は、高齢化や人材不足などネガティブな面が強調されることもありますが、ドクターカーやドクターヘリ、DMAT(災害派遣医療チーム)による災害医療や高度外傷センターによる救急医療、テロ対策など進んだ分野もあります。ダビンチやTAVIなど先端技術も備えています。

 今後も、地域医療と先進医療が調和する大学病院を目指していくために人材の教育は重要ですが、最近の若手には少し受け身の姿勢を感じます。死語なのかもしれませんが、努力が足りていないと感じます。

 心にわだかまりなく、さっぱりした気持ちを持つことを「虚心坦懐」と言いますが、私はこの言葉が医療人にぴ ったりだと考えます。研鑽を仕事と捉えるのではなく、損得なしで見返りを求めず、本当のことだけを考えて医療に当たる。自分もそうありたいと思いますし、そういう人材を今後、育てていきたいと思っています。


島根大学医学部泌尿器科学講座
島根県出雲市塩冶町89―1
☎0853―23―2111(代表)
https://www.med.shimane-u.ac.jp/urology/

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