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心を一つに総力戦で

心を一つに総力戦で

長崎県島原病院 
木下 明敏 院長(きのした・あきとし)
1984年長崎大学医学部卒業。長崎大学第二内科(呼吸器)、長崎市立市民病院
(現:長崎みなとメディカルセンター)、国立病院機構長崎医療センター内科部長、
長崎県島原病院副院長などを経て、2020年から現職。

 長崎県島原市の長崎県島原病院は、島原半島唯一の感染症指定医療機関として新型コロナウイルス感染症に対応してきた。総力戦で挑むために心掛けたことや、コロナ禍を契機とした新たな取り組みについて聞いた。


―今までの主な取り組みは。

 私が院長に就任した翌日の2020年4月2日、島原半島で初めてのコロナ対策会議が開催されました。医師会をはじめ保健所、消防、行政機関などが一致協力して対応することの意思確認ができ、地域での臨戦態勢が整いました。また当院がコロナ対策の中心を担っていく決意表明の場ともなりました。

 重要なことはコロナを未曽有の災害と認識し、人員、物資、情報の不足に対していかに迅速に対応するかです。20年2月から呼吸器・泌尿器病棟をコロナ専用病棟へ移行する準備にかかりました。20年4月下旬には長崎港のクルーズ船で発生した大規模クラスター患者の当院への搬送と大型連休明けの患者拡大が予測されたことから、部門長に加えて全医師も含めた緊急拡大管理診療会議を開きました。

 その中で、入院・外来患者の制限、不急の手術は延期をするなどコロナ体制への移行を伝え、皆へ協力をお願いしました。5月の大型連休後に感染状況が少し落ち着いてきた時点で、実施を遅らせていた手術・検査を早急に行うなど、感染状況によって対応を都度変化させてきました。

 情報の共有と方針の周知徹底は極めて重要で、そのために院内ポータルサイトをつくり替えました。最新の対応方針をスタッフ全員が常時確認できるようにして、診療の手引きなど必要な項目も掲載し、今も絶えずアップデートしています。


―苦慮したことと対策は。

 最も苦慮したことは、スタッフのモチベーション維持でした。終わりの見えない戦いであり、感染する不安、周囲からの誹謗(ひぼう)中傷など、数多くのストレスにさらされてきた中で、皆を支えてきたものは、自分たちが島原を守らねばという責任感、使命感、誇りであったように思います。スタッフには感謝と敬意を表します。医師の負担に対して、輪番当直体制の変更などで地元医師会に協力していただき、大学医局からもさまざまな診療応援をもらい深く感謝申し上げます。

 県境を越えた移動が制限され、看護パワーの充実も困難でした。できるだけ頻繁に病棟を訪れ看護スタッフに声掛けして、医療者だからと我慢している心の内を聴くことに努めました。コロナ対応に追われ、患者さんに寄り添った看護ができないなど心の痛みを表出してくれました。今後もメンタル面でのフォローは大切と考えています。

 この状況を少しでも改善できないかと病棟再編を行いました。コロナ専用病棟と同じ階にあった内科系病棟を合わせて100 床から60床に削減し、一看護単位としました。看護師は内科系病棟とコロナ専用病棟に配置しており、その中でローテーションすることで負担を分け合うようにしました。


―新たに始めた取り組みは。

 医療を取り巻く環境は時々刻々変化しています。皆のベクトルをそろえ、物事を迅速に進めるため、新たな体制づくりに取り組んでいます。

 その一環として、21年度から運営会議を拡大し、診療部長が病院機能を分担して運営へ参画する運営幹部会議へと改組しました。


―最後に伝えたいことは。 

 コロナ禍であっても医療の質向上の歩みは止められません。建設中のがん診療センターが、22年1月に竣工(しゅんこう)予定です。22年度から稼働させ、地域がん診療連携拠点病院としてさらなるがん診療レベルの向上を目指しています。

 危機的状況だからこそ、コミュニケーションを取り合い、心を一つにして総力戦で前へ進む努力を続けていきたいと思っています。

長崎県島原病院
長崎県島原市下川尻町7895
☎0957―63―1145(代表)
https://shimabarabyoin.jp/

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