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徳島大学大学院 医歯薬学研究部 腎臓内科学分野 「未知への挑戦」胸に創薬研究などに力を注ぐ

徳島大学大学院 医歯薬学研究部 腎臓内科学分野 「未知への挑戦」胸に創薬研究などに力を注ぐ

准教授(あべ・ひではる)
1993年京都大学医学部卒業。生産開発科学研究所主任研究員、
徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部病態情報医学講座腎臓内科学分野准教授などを経て、
2015年から現職。

 講座設立から現在までの20年余を駆け抜けてきた。県内の腎臓医療を取り巻く環境の充実に力を注いできただけでなく、現在はクラウドファンディングを活用した創薬研究も展開。精力的にチャレンジする。

─徳島県の現状は。

 徳島大学には、かつて腎臓内科学という分野が臨床講座にありませんでした。

 1999年に、私を含む4人が京都大学から移り、腎臓内科の講座ができました。当時のメンバーで現在も残っているのは私だけ。腎臓の専門家が乏しく苦労しましたが、逆に言うとそれだけニーズがあったため、すべきことも多く、あっという間の20年でした。治療が必要な腎疾患の患者さんを見つけ、医療につなぐ体制構築が一番重要な仕事だったと感じています。

 徳島県は糖尿病の粗死亡率が1993〜2004年の間に全国1位で、現在も高水準です。その数字がクローズアップされることが多いですが、実は腎不全の粗死亡率も注意が必要な水準。糖尿病以外の要素として、小児の肥満率が高いことなど多種多様な問題も、徐々に判明してきました。

 どのようにすれば、病院に来ていただけて、治療に結び付けられるのか。地域の開業医の方々と綿密にミーティングをしながら、紹介いただける体制を築いているところです。

 研究について言えば、腎臓病は画期的な治療薬がなく、「進行を遅らせる薬剤」にとどまっています。他の臓器には分子標的薬が数多くありますが、腎臓に関しては、まだほとんどないのが現状。iPS細胞による再生医療に期待がかかりますが、腎臓は複雑な臓器であるため実現と普及は難しい─というのが専門家の共通認識です。

 ならば創薬で機能低下を抑制しようという考えで研究をスタートさせました。血液をろ過する糸球体を含む「ミニ腎臓」を開発し、それを用いて創薬スクリーニングをしています。幸いにして、可能性がある化合物が数種類発見されており、有望なものに関しては動物実験での検証を始めつつあるところです。

 研究開発費の一部はクラウドファンディングで募りました。腎臓疾患の治療をめぐる現状を多くの人に知ってもらいたいという啓発の側面もあります。ご家族など身近に腎臓病患者がいる方々から、多くのご支援をいただきました。

─今後の伸びしろは。

 臨床講座が設立されてまだ20年と歴史が浅いので、研究と同様に教育のウエイトも高くなります。地域の腎臓医療を背負って立つ人材の数はまだまだ少なく、各地域の基幹病院に腎臓内科医がそろっていない。腎臓を専門とする医師の育成は、地道に続けていくしかありません。

 ただ、腎臓内科医でなくても、腎臓病に関心を持ってくださる先生が、少しずつ増えてきました。そうした方々と定期的に勉強会を開くなどして、地域医療の面での協力体制を整えてきていますし、今後も続けていきたいと考えています。

 また、リクルートにも力を入れていきたいですね。腎臓病は病態がわかっていない未知の部分がまだ多くあります。研究で何かが判明すれば、診断薬や治療薬などの形で自分の発見を臨床に活用できる可能性が高い、いわば「ブルーオーシャン」なのです。

 私自身も、初期臨床実習の期間に「なぜ腎臓病は患者数も人工透析の患者数も増え続けているのに、治療法がないのだろう」と感じたことをきっかけに、腎臓内科医を志しました。

 現在は、医療分野にもAI(人工知能)が入ってきているからこそ、「わかっていないことに対してチャンレジする」ことの重要性が、従来以上に高くなると見通しています。チャレンジ精神を持った仲間とともに、やりがいを感じながら、徳島県の腎臓医療を取り巻く環境を充実させていきたいと考えています。


徳島市蔵本町2―50―1 ☎️088―631―3111(代表) http://www.tokudai-kidney.jp/

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