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役割を決めつけない それが連携の力を高める

役割を決めつけない それが連携の力を高める

医療法人 禄寿会  理事長(たかえす・よしかず)
1978年信州大学医学部卒業。沖縄医療生活協同組合沖縄協同病院循環器内科、
医療法人禄寿会小禄病院病院長・理事長(兼務)などを経て、2013年同法人理事長。

 小禄病院を軸に介護老人保健施設、居宅介護支援事業所、ヘルパーステーション、訪問介護ステーション、地域包括支援センターなどを展開する医療法人禄寿会。各施設がどのように連携して地域の「医療と福祉」を守っているのか。髙江洲良一理事長に聞いた。

―法人内の連携について教えてください。

 私たちが行っている訪問診療は、現在220件ほどです。訪問看護、状態が悪化した場合の小禄病院での受け入れなども含めて、すべて医療法人禄寿会が有する施設やサービスで対応することが可能です。

 看取りは今年に入って数件。つい先日も、深夜にご連絡をいただいて、ご自宅に伺いました。地域によっては「最期を住み慣れた場所で迎えさせたい」「みんなで見送りたい」と、ご家族や親せきが強い思いを持っていることがあります。この周辺には比較的多くの開業医の先生がいますし、大病院もありますから、医療の提供体制そのものは充実しています。ただ看取りまで対応するとなると、他の医療機関だとなかなか難しいというのが現状です。

―多職種間の関わりをどうやって深めていますか。

 当院の役割の中心は、高血圧や糖尿病、脂質異常症など、生活習慣病に対する治療です。看護師をはじめ栄養士、理学療法士らさまざまな職種がチームとなって相互にサポートします。私たちが大切にしているのは、常に患者さんとコミュニケーションをとることです。そして、「自分の仕事はここまで」と決めつけないことです。

 一人の患者さんをみんなで支えるという考え方に基づいています。法人内で訪問診療、訪問看護、訪問リハビリなどを展開できるようにしているのも、この点を重視しているからです。「必要だ」と判断すれば、時にはいつもとは異なるアプローチで介入することがあります。

 例えば栄養士が患者さんの家を訪問し、その方に適した調理方法を指導したことがあります。それまで、なかなか薬剤の効果が現れずに悩んでいました。そこで調理を変えてみたところ、改善に向かったのです。ここに「在宅医療の本質」が垣間見える気がします。

 「制度や役割ありき」で考えてしまうと、患者さんにとって本当に必要な医療やサポートを届けられないことがあります。患者さんのために何ができるか。自分がやるべき医療は何か。そこから組み立てていくことが大切ではないでしょうか。この点を守り続けることが、おのずと経営改善にもつながる。そう信じています。

―改めて、在宅医療に対してどのような思いをお持ちでしょうか。

 220件の訪問診療のうち、ご自宅は40ほど、その他はすべて高齢者施設などです。小禄病院の70床と合わせて「300床」を回診している。そんな気持ちでいます。

 私の専門はもともと循環器。カテーテル治療などに力を入れてきた一方で、研修医だった頃からずっと途切れることなく訪問診療を続けています。引き続き、栄養士や理学療法士らがチームとなる当法人の強みを生かして、患者さんの生活に寄り添う医療を届けていきたいと思っています。これからの時代は、さらに多くの医療機関に在宅医療の展開が求められるようになると思います。私自身もそのような方向に進んでほしいと考えています。

 医師にとって専門性や自分の得意な技術を伸ばしていきたいという姿勢は大切なことです。同時に、どのような患者さんに対しても一定の診療ができるという力を身に付けることも、やはり忘れてはならないのではないかと思います。その意味でも、訪問診療に関心を持つ若い医師がもっと増え、地域医療を支えてくれるようになればうれしいですね。

医療法人 禄寿会(小禄病院内)
那覇市小禄547─1
☎098─857─1789(代表)
http://rokujukai.or.jp/

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