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強い組織づくりは職員の声を聞くことから

強い組織づくりは職員の声を聞くことから

秋田大学医学部附属病院 南谷 佳弘 病院長 (みなみや・よしひろ)
1986年秋田大学医学部卒業、米コロンビア大学医学部客員研究員、秋田大学大学院医学系研究科胸部外科講座教授などの後、2019年4月から秋田大学医学部附属病院長も兼任。

 4月に就任した南谷佳弘新病院長が、まず取り組んでいるのは職員の話に耳を傾けること。みんなの思いを大切にしながら「患者さんのために何ができるのか」を考えるー。強い組織づくりへの挑戦が始まった。

―就任以降の取り組みを。

 職員には秋田大学医学部附属病院という職場に、愛情や誇りを持って仕事に取り組んでほしいと考えています。そのために、職場の問題や課題があればそれを解決して、居心地の良い環境をつくるのが私の仕事。着任して、まずは職員たちの声を聞きたいと考えました。

 医師に関しては教授として接する機会がありましたし、教室でもできるだけ若手と話すよう心がけてきました。しかしメディカルスタッフと話す時間は、なかなかありません。

 そこでまず、看護師長約40人全員と面談しようと考えました。現場の看護師が思っていることや、より良くするには何をしたらいいといった提案を積極的に聞いています。

 1人1時間程度。そのぐらいの時間をとって話をすると意見や本音も出ます。あとは、メールアドレスを伝えて、メールでも送ってもらうようにしました。

 第2弾としては、私あての「目安箱メール」を7月にスタート。これは直接話を聞くことができなかった職員たちの意見を聞くもの。記名式で病院に対する意見をメールで受け取ります。不満に思っていることも聞き、それを解決する方法を考えていきます。

 病院長になるかどうか、迷っていた時、ある病院の病院長から「副院長までは医師の世界で生きている。病院長は、これまで経験しなかった医師以外の世界も生きる。病院長にならなければわからないこともあるからやってみなさい」と言われ決心しました。

 今の私のテーマは「大きな耳と強靭な足腰」。まずは現場に行き、話をよく聞くことに力を注ぎ、そこで得た情報を、より強い組織づくりや経営に力を注いでいこうと考えています。

―これまで研究開発にも注力されてきました。

 理工学部と医学部との「医理工連携」による研究開発は、当院の大きな特徴です。迅速免疫染色装置「ラピート」の開発には、私自身も関わり、2014年に商品化されました。

 これは、秋田県産業技術センターで開発された微量の液体に低周波の電圧をかけながら撹拌・染色する技術を活用。2時間以上必要だった免疫組織の染色にかかる時間を、20分以内に抑えることができるようになりました。

 一番役に立つのは、脳腫瘍の悪性度診断に対してでしょう。悪性度診断には免疫組織染色が必須ですが、これまでは生検のための手術を実施し、その後、悪性の場合には再度、摘出のための手術を要していました。これが1度の手術でできるようになるのです。

 呼吸器外科の場合は、原発性肺がんなのか、あるいは転移性肺がんなのかを、術中迅速で判断する必要がある場合に応用できます。短時間での精度の高い診断によって患者さんの負担軽減につながるだけでなく、医療経済といった面でも貢献できます。

 現在ラピートは手動式ですが、自動化を目指して北海道大学病院、神戸大学医学部附属病院、岩手医科大学附属病院と協力して臨床試験を続けています。

 開発に携わって実感したのは、「研究が研究にとどまらず、商品化されることの重要性」です。研究を患者さんのもとに届けることが本当のゴールなのです。

 そのためには一緒に開発を進める企業との連携が重要です。また、発想の違う異業種の方々と一緒に、同じ目標に向かって努力するのも研究開発の醍醐味(だいごみ)です。

 病院づくりでも、民間や異業種の方の意見、患者さんの意見を取り入れていく仕組みが必要なのかもしれない―。今はまだおぼろげですが、そんなことも思っています。

秋田大学医学部附属病院
秋田市広面蓮沼44-2 ☎018-834-1111(代表)
http://www.hos.akita-u.ac.jp/

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