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広島大学大学院医系科学研究科 糖尿病・生活習慣病予防医学寄附講座 遠隔診療で生活指導 地域格差解消図る

広島大学大学院医系科学研究科 糖尿病・生活習慣病予防医学寄附講座 遠隔診療で生活指導  地域格差解消図る

教授(よねだ・まさやす)
1999年広島大学医学部卒業。
東広島医療センター臨床研究部室長などを経て、2018年から現職。
同大学病院内分泌・糖尿病内科診療科長併任。広島県糖尿病対策専門委員会委員長。

 インターネットを活用し、遠隔で糖尿病患者の生活改善を指導する試みが広島大学の「ひろしまDMステーション」で始動した。プロジェクトリーダーの米田真康教授に、これまでの成果と今後の課題を聞いた。

―実施の経緯は。

 広島県内の糖尿病患者数は推定で22万人を超えていますが、日本糖尿病学会が認定する糖尿病専門医は100人に満たない状況です。特に県東部では人口に対して糖尿病内科医が少なく、山間部や島しょ部では皆無の地域もあり、地域差が生じています。

 専門医療スタッフである糖尿病療養指導士も地域偏在があり、生活習慣の改善指導や患者教育を含めた質の高い診療を県内全域で均一にできていないことが課題でした。

 そこで、県や広島市、県医師会、本学でつくる県地域保健対策協議会の糖尿病対策専門委員会が、限られた人材である糖尿病内科医を各保健医療圏で集約することにしました。2018年には保健医療圏ごとに「糖尿病診療拠点病院」と「糖尿病診療中核病院」が選定され、この病院を中心に連携体制を構築することを目指しました。

 しかし、拠点病院も中核病院もない「過疎地域」がまだ多くあり、他地域と同レベルの診療を可能にするため、19年に糖尿病(diabetes mellitus)の頭文字を取った「ひろしまDMステーション」を本学内に立ち上げ、遠隔診療システムを構築するプロジェクトに着手しました。

―組織の体制と具体的な取り組み内容は。

 同ステーションには専属の看護師、管理栄養士、理学療法士を1人ずつ配置しました。三原市、府中市、安芸太田町の3病院の協力を得て、20年4月から半年、遠隔診療を試みました。対象としたのは、3病院へ通院する60歳代の2型糖尿病患者12人。患者さんのスマートフォンに独自に開発したアプリケーションを取り込んでもらい、血圧、体脂肪率、歩行距離などのデータや、患者さん自身が撮影した食事の画像をウェブ上のクラウドに自動送信させて情報を集めました。

 ステーションのスタッフは、クラウドに蓄積された患者さんのデータと病院の診療情報を総合的に解析し、患者さんに1カ月ごとに電話で生活指導をします。患者さんの士気向上につなげるため、簡略的な報告書も月1回スマホに送りました。

 並行して、現地の病院にステーションのスタッフを派遣し、医療スタッフらと治療や療養指導について協議する「デリバリー医療」で相互理解を深め、スキルアップを図りました。

―成果と今後の課題は。

 詳細なデータは解析中ですが、間食をしないなど管理栄養士による食事指導の是正項目の数は、開始直後と終了時を比較すると減少傾向にあることが分かりました。患者さんが意義を理解し、協力的に取り組んでくれたことに大きな手応えを得ています。

 ただ、新型コロナウイルスの感染拡大により、デリバリー医療の実施回数を減少せざるを得なかったことや、スマホの操作に慣れている患者さんしか対象にできなかったことは改善の余地があると感じています。

 蓄積したデータをAIに学習させ、将来的に患者さんごとに適切な生活習慣改善プログラムを自動作成することを目指していますが、まだ取得した情報量が少ない状況です。今後、協力してくれる医療機関の数を増やし、新型コロナの感染状況にも左右されますが、23年の完成を目指して取り組みを進めています。

 完成すれば、数十万人か、それ以上の患者さんへの介入を可能にする画期的な開発になると考えています。遠隔診療とデリバリー医療、AIの導入は糖尿病診療の未来を切りひらく端緒になるはず。今後さらに発展させ、地域差のない診療の実現に貢献していきます。


広島市南区霞1―2―3 ☎︎082―257―5555(代表)
https://www.hiroshima-u.ac.jp/bhs/research/lab/other/Preventive_Medicine_for_Diabetes_and_Lifestyle-related_Diseases/

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