九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

広島大学大学院医系科学研究科 外科学 心臓低侵襲手術導入 患者の体力負担を軽減

広島大学大学院医系科学研究科 外科学 心臓低侵襲手術導入 患者の体力負担を軽減

教授(たかはし・しんや)
1998年広島大学医学部卒業。
倉敷中央病院心臓血管外科、イタリア・トリノ大学心臓血管外科、
広島大学病院心臓血管外科講師などを経て、2019年から現職。

 2019年8月、広島大学大学院医系科学研究科外科学の教授に就任した心臓血管外科専門医の髙橋信也氏。講座の現状と、最先端の技術を積極的に取り入れる心臓手術について聞いた。

―外科学講座の方向性は。

 これまで当講座は、安全第一を前提にした慎重な術式の適用に特徴がありました。私はこのスタンスから一歩踏み出し、国内で行われている術式はすべて当講座でも行う、という積極的な方向へかじを切ります。

 特に私の専門である心臓血管外科部門は、いわゆる先端治療にも積極的に対応して、国内における〝最高の心臓外科治療を行う〟ことを目標にしています。

 消化器外科および小児各外科部門も同様です。例えば肝胆膵外科グループは2020年4月から、膵体尾部切除術はすべて腹腔鏡下手術するなど、新たな治療法に積極的に取り組んでいます。炎症性腸疾患をメインとしてきた大腸肛門外科グループは、移植外科と協力して大腸がんの実力のある医師の育成に力を注いでいます。地域の医療ニーズによりマッチした体制整備を進めます。

 小児外科部門は、小児がんそのものの症例数が少ない現状の中、どのように症例を増やしていくのか。再拡充の方向を探っています。

―心臓手術の取り組みについて。

 冠動脈バイパス術は、熟練の技を要する拍動中の血管縫合のリスク回避のため、血管にダメージのある糖尿病患者や、心臓の裏側などバイパス手術をスムーズに行うことが難しい部分の手術で、担当外科医の判断により安全性を優先してオンポンプで行います。

 適応に問題がない場合は心臓を止めず、人工心肺を用いないオフポンプによる症例が少なくありません。このオフポンプの中で、当講座における最新の動きの一つとなるのが〝左小開胸冠動脈バイパス術〟です。

 バイパスを実施する動脈が1本のみでよい場合に適応します。患者さんの体力的な負担が大きい、胸骨を真ん中から切る正中切開を避け、左の胸を7㌢ほど切って行います。術後の回復が明らかに早いことから〝さらなる低侵襲手術〟として注目されています。

 心臓弁膜症では人工弁を用いない〝弁形成術〟を行っています。もう一つの術式である人工弁置換術でも予後に大きな問題はない、と判断されている方も多くいらっしゃいます。

 私の場合、僧帽弁形成術などにおいて、術後の患者さんの回復度が非常に良好なことを目の当たりにしていることから、この術式を採用しています。

 手術は低侵襲な〝右小開胸〟で行います。6~8㌢ほど切開し、大動脈を遮断して心臓をいったん止め、人工心肺の管を右股から入れて走血、首から脱血し、僧帽弁、三尖(さんせん)弁、不整脈などの治療を行います。

 自己心膜を使用した〝大動脈弁再建術〟も実施しています。正中切開して心臓を包む心膜を切り取り、弁の形にして縫い付けます。大動脈弁に感染がみられる患者さんに対して、人工弁置換術よりもメリットがある術式だと考えています。

―心房細動の手術も注目されています。

 心房細動は脳梗塞の発生が大きな問題だと考えています。発症メカニズムは、心臓の左冠動脈を包む袋状の〝左心耳(さしんじ)〟と呼ばれる部分で血流にブレーキがかかり、そこで形成された血栓がはがれて脳で詰まることです。

 弁膜症を併発している場合は、弁膜症治療と併せて心房細動の治療を行いますが、心房細動だけの患者さんに対しては、胸を大きく開くことは避けます。

 左胸に小さく切開した4カ所の穴からカメラ、マジックハンド、自動吻合(ふんごう)器などを挿入し、電流で焼き切るアブレーションを応用した〝胸腔鏡下左心耳切除〟を実施しています。この低侵襲な術式も当講座の目玉の一つになります。


広島市南区霞1―2―3 ☎️082ー257ー5555(代表)
http://surgery1.hiroshima-u.ac.jp/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

Instagram did not return a 200.

コメントはこちらから

[contact-form-7 404 "Not Found"]
メニューを閉じる