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広域病院企業団として地域医療をリード

広域病院企業団として地域医療をリード

置賜広域病院企業団 公立置賜総合病院
医療監・院長(はやし・まさひろ)

1981年山形大学医学部卒業。
同医学部助教授、米カリフォルニア大学サンディエゴ校留学(文部科学省在外研究員)、
公立置賜総合病院副院長などを経て、2017年から現職。
山形大学医学部臨床教授・非常勤講師兼任。

 2000年、山形県の置賜地域にある2市2町の公立病院と診療所を再編・統合し、置賜広域病院組合が設立された。病院再編の先進事例として注目を集めた同組合は、2017年に病院企業団となって新たなスタートを切り、さらなる改革を進めている。

―企業団設立までの経緯を教えてください。

 現在の体制ができる以前、置賜医療圏の長井市、南陽市、川西町、飯豊町はそれぞれの自治体で病院や診療所を運営していました。しかし、経営難や医師不足などが深刻化したことで統合案が持ち上がり、2000年に山形県と2市2町による一部事務組合を設立。高度医療や救急医療を担う総合病院を新たに建設し、長井病院、南陽病院の各市立病院は初期医療や回復期医療、川西町立病院は外来のみの診療所として再編したのです。飯豊町国保診療所は運営を町から受託し、医師の派遣などで協力しています。

 そして2017年、地方公営企業法を全部適用し、置賜広域病院企業団として新たな体制をスタートさせました。これにより病院運営がスムーズになり、以降はさまざまな改革を行っています。総合病院では7対1看護体制に移行して急性期病院の機能を強化。南陽病院はすでに建て替え、長井病院は3年後に建て替える予定です。在宅支援機能なども充実させました。今後も患者さんのニーズに応じて、柔軟に改革したいと考えています。

―地域医療機関との連携は。

 インターネットを介して、地域の医療機関が患者さんの診療記録を共有できる「OKI―net」、大腿骨骨折の患者さんに特化した「大腿骨地域連携パス」などがあります。ネットワークに登録している各機関が綿密に情報交換することで、患者さんの継続診療が円滑になるだけでなく、地域全体の医療向上にもつながっていると思います。

 また、医師が不足している病院に当院から外来医を派遣する体制や、協働診療のシステムもあります。協働診療は平日夜7~10時の間、開業医に当院へ来ていただき、当直医と一緒に1次救急の患者さんを診療するものです。これにより医師間、病院間のコミュニケーションが活発になり、地域の医療連携を進める上でも欠かせないものになっています。

―研修医やスタッフの教育についてお聞かせください。

 現在の臨床研修制度が始まった当初、当院を希望する研修医は少ない状況でした。そこで地元の山形大学と臨床研修に関する協定を結んだほか、当院の医療設備や症例の多さ、教育プログラムをパンフレットなどで紹介。その結果、徐々に研修医が増加し、近年ではほぼフルマッチの16~17人が研修しています。2019年には総合病院のそばにレジデントハウスが建設され、研修医に対する環境がより整いました。

 看護師に関しても当初は不足気味でしたが、基本的な知識や技術を学べる研修プログラムが認知されるようになり、今では多くの応募があります。IVナースの教育体制が整っていることも強みの一つでしょう。

―今後の展望は。

 置賜2次医療圏は人口減少が激しく、医師不足や診療科の偏在も大きな問題で、小規模の病院は運営が困難になると予想されます。当院としてはこれまで以上に医療連携を図り、地域のニーズに応え続けたい。そして、この地に急性期医療ができる病院を残したいと考えています。

 当企業団で働く職員は非常勤を加えると1000人を超え、置賜地域では大きな職場の一つです。雇用の側面からも地域での役割や期待は大きいと感じています。今後も職員や医師に対する教育、研修を充実させ、魅力ある職場づくりを心がけながら、地域全体に貢献したいと思います。

置賜広域病院企業団 公立置賜総合病院
山形県東置賜郡川西町西大塚2000
☎0238─46─5000(代表)
http://www.okitama-hp.or.jp/

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