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年間の透析導入患者を「3万5000人以下」に

年間の透析導入患者を「3万5000人以下」に

 今年度から「慢性腎臓病(CKD)診療提供体制構築モデル事業」がスタートするなど、腎疾患の早期発見、治療を継続的に実施できる診療体制の整備が進められている。2017年12月から2018年7月にかけて開かれた「腎疾患対策検討会」の報告書を踏まえた取り組みの一環だ。

10年間で一定の成果 減少には届かず

 前回の腎疾患対策検討会の報告書が取りまとめられた2008年当時、透析療法を受けている患者数はおよそ26万人(2007年末現在)。国が生活習慣病の予防、透析療法や移植医療といった腎不全対策を呼びかける中、CKDの重症化予防に関しては、施策としての方向性が明確に示されていなかった。

 そこで検討会において腎疾患対策のあり方が議論され、「透析導入への進行の阻止」「CKDに伴う循環器系疾患(脳血管疾患や心筋梗塞など)の発症の抑制」が掲げられた。

 市民や医療関係者に対する啓発活動、かかりつけ医と専門医療機関のスムーズな連携体制の整備などを推進。高齢化の影響を除外した年齢調整後の新規透析導入率に減少傾向が見られるなど、10年間で一定の成果を残した。

 しかし、近年の慢性透析患者数の伸びは鈍化しているものの、減少に転じるまでには至っていないのが現状だ。

各県でモデル構築 均てん化を目指す

 2017年末における慢性透析患者数は33万4505人(2017年日本透析医学会統計調査報告書)。人口100万人当たり2640人で、有病率は年々大きくなっている。また、新規の透析導入患者数は4万人を超え、毎年の死亡患者数も増加傾向にある。

 CKDの認知度はいまだ十分に浸透しているとは言えず、軽度の腎機能の異常は自覚症状が乏しいため患者本人も医療者も気づきにくい側面がある。「潜在的なCKD患者」が数多く存在すると考えられており、また高齢化が進むことで腎疾患患者は今後も増加していくと予測される。

 国は「2028年度までに年間新規透析導入患者数を3万5000人以下に減らす」との成果目標(KPI)を設定している。

 今回の腎疾患対策検討会で示された5本の柱は①普及啓発②医療連携体制構築③診療水準の向上④人材育成⑤研究の推進。それぞれの進捗や成果の「見える化」を目指す。

 目標達成に向けた活動の軸の一つとなるのが「慢性腎臓病(CKD)診療提供体制構築モデル事業」だ。

 国が都道府県を対象に補助金を交付。地域の特性に応じて行政と医療者が連携し、CKD対策モデルを構築する。都道府県が中心となって市町村への「横展開」を実施し、さらに各地で確立されたモデルを活用して全国の均てん化へと広げる狙いだ。

 広島県呉市や埼玉県の先行事例の横展開を目指して策定された「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」との連動など、すでに構築されたネットワークと結びつくことで、より効果的なCKD対策への発展も期待されている。

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