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幅広い知識と経験備えた麻酔科医を多く育てたい

幅広い知識と経験備えた麻酔科医を多く育てたい

福岡大学医学部麻酔科学 秋吉 浩三郎 教授(あきよし・こうざぶろう)
1996年九州大学医学部卒業。
九州大学医学部附属病院(現:九州大学病院)麻酔科蘇生科
国立病院機構九州医療センター、米オレゴンヘルスアンドサイエンス大学留学
九州大学病院麻酔科蘇生科講師などを経て、2019年から現職。

 医局員50人を束ねる新しいリーダーとして、九州大学医学部麻酔科蘇生科から着任した秋吉浩三郎教授。「幅広い知識と経験を備えた麻酔科医を育てたい」と、医学生の指導と臨床の最前線に立ち、精力的に取り組んでいる。

麻酔科は面白い 一生続けたい

 秋吉浩三郎教授は外科医院の三男として生まれた。長兄は整形外科医、次兄は小児外科医。秋吉教授も外科医の父の背中を見て育ち、医師を志した。

 最初から外科系に進もうと決めていた。外科とは切っても切れない麻酔科の勉強を始めると、気持ちに変化が表れた。「手術中の変化が、秒単位で結果が表れる。急に血圧低下した患者さんに適切に対応すれば、たちまち落ち着いていく。自分の判断と対応を問われるのがすごくうれしかったですね。一生続けてみたいと、この道を選択しました」

「痛みの専門家」として医療を提供する

 超高齢社会を迎え、医療の高度化に伴い、現在の麻酔科医はこれまで以上に幅広い知識と経験が求められるようになった。

 手術室では、患者の麻酔管理だけではなく、感染症や空調への目配りなど、手術室全体のマネジメントも麻酔科医が担う。術前術後の合併症管理や栄養管理なども含め、麻酔科医が関与する領域は広い。

 秋吉教授は「ひと昔前と比べて、麻酔の安全性が非常に高くなっています。例えば90歳といった超高齢の患者さんでも安心して手術が受けられる時代です。ただ、安全な麻酔医療を提供するためには、優秀な麻酔科医がいるだけでは不十分です。外科医、看護師、臨床工学技士、薬剤師などさまざまな職域の人たちと協力し合うチーム医療が必要です」

 麻酔科の基礎研究で渡米、留学中にチームで仕事をする大切さを学んだ。細分化された基礎研究テーマごとに担当が決まっていて、チームで研究を進めていく。「チームを組むことで一人の負担が減り、大きな仕事につながる。それは臨床でも同じことです」

新専門医制度での研修体制を充実

 新専門医制度の元での専門医研修プログラムでは、基本領域の周術期(手術前後と術中麻酔管理)だけでなく、ペインクリニック、集中治療、緩和ケアといった、いろんな経験を積み、知識を習得した麻酔科専門医の育成が重要とされている。

 「教育施設には、さまざまな症例を経験できる環境が求められます。福岡大学病院では年間手術件数が約8500件に上ります。手術内容も心臓・大血管、脳神経外科、産科、小児など多岐にわたっているので、十分な研修を積むことが可能です。また、経験豊富な医師を育てるため、集中治療、ペインクリニック、救急医療、術後疼痛(とうつう)管理や無痛分娩、鎮静治療など研修体制をさらに充実させていきたいと考えています」

緩和ケアの分野で活躍する専門医を

 昨今、医療におけるAIの活用が話題となっている。麻酔科ではどうだろうか。その点について、秋吉教授は「日本でも、AIやコンピューターで麻酔濃度を調節する取り組みがあります。しかし、医師の判断や感性、さまざまな技術が必要な麻酔診療において、AIやロボットに全部任せられるとは思えない」と、慎重な姿勢を示した。

 一方、超高齢化に伴い緩和ケアや訪問医療も、重視される時代となった。

 「麻酔科医は、痛みを取る技術には一番長けているので、その特性を生かして緩和ケアに関わっていくべきです。地域医療においても、役立つと思っています。大学として周術期だけでなく、ペインクリニック、緩和ケア、集中治療、救急医療など、さまざまな領域の専門医を育成し、地域医療に役立ちたいと考えています」

福岡大学医学部麻酔科学
福岡市城南区七隈7-45-1 ☎092-801-1011(代表)
http://fukuunivanes.com/

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