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常識を疑い挑戦 諦めない「意地」で経営担う

常識を疑い挑戦 諦めない「意地」で経営担う


米澤 泰司 院長(よねざわ・たいじ)

1987年奈良県立医科大学医学部卒業。独ノルトシュタット病院留学、
奈良県立三室病院(現:奈良県西和医療センター)脳神経外科部長、
大阪警察病院脳神経外科部長などを経て、2021年から現職。

 奈良県生駒市にある阪奈中央病院の院長に1月、米澤泰司氏が就任した。これまで脳神経外科医として常識を疑いながらさまざまな挑戦をしてきた経験を、経営にどう生かしていくのか。ビジョンを聞いた。

座位で手術、小開頭 ドイツで衝撃の経験

 脳神経外科医としてキャリアを積み重ね、経営を担う新たなステージに立った。「経営には理屈だけではいかない部分もあるし、結果が数字で出てくることに怖さもある。なんとかいい方向に導けるように努力したいと思っています」と語る。 これまで現場の医師として、「常識を疑う」「チャレンジする」「無駄を省く」という姿勢を貫いてきた。この姿勢が確立されたきっかけは、座位で開頭する聴神経腫瘍の術式を学んだドイツでの経験だ。1997年にノルトシュタット病院に留学し、世界的権威である教授に師事した。

 日本ではうつ伏せか横向きに寝かせた状態で手術するのが一般的。座位だと開頭すると心臓より小脳の位置が高くなることで静脈圧が低くなり、血管に穴が開くと空気塞栓を起こしてしまう可能性がある。寝た状態に戻すと術後の出血も避けられないなどリスクが高いためだ。一方で、術中の出血量が少なく、小脳が萎縮している状態のため術野を確保しやすいという大きな利点があり、「衝撃を受けた」という。

 開頭の範囲が今まで見たことがないほど小さかったのも衝撃的だった。脳神経外科医、麻酔科医、看護師らが同一のメンバーで意思疎通を図って症例数を積み重ねていることが、難しい術式を可能にしていた。開頭範囲が小さいのは、最初から小さくしたのではなく、切る必要のない無駄な部分を省く作業を重ねた結果であることも学んだ。

当たり前に疑問 諦めない「意地」育む

 ドイツでの経験で、「当たり前にやっていることも、本当にそれがベストか常に考えないといけない」との意識が芽生えた。メスを入れるラインが本当に適切か、なぜそこを切るのか―。全ての動作の意味をより真剣に考えるようになった。2009年に赴任した大阪警察病院で、小開頭化に挑んだ。開頭の範囲が小さくなれば、脳を傷めにくく、皮膚の傷も小さく治りが早い。「手術で得られる効果が同じなら傷は小さい方がいい」との思いで「無駄」な部分を切らないようにする試行錯誤を重ねた。

 開頭範囲の大小で予後がどう変わるかという研究は後進に託したが、常識を疑い挑戦するプロセスは自身の中に残っている。「術者は結果を残すために、安易な方に流れてはいけない。最後まで責任を持って、最善のラインをたどるべき」。若手医師にいつも伝えている言葉だ。「経験も大事だが、諦めない『意地』のようなものも持ってほしい」と願っている。

働き方改革に着手 診察デジタル化も加速

 今後は、経営にエネルギーを注いでいく。力を入れたいと思っているのは、広報活動。急性期と回復期リハビリテーション、予防医学に幅広く取り組む地域の中核病院であることを、住民にどのように発信していくべきか、頭を悩ませる日々が続いているという。働き方改革にも取り組む。医師の勤務体制について、同規模の病院の事例も参考にして、当直医に負担がかかりがちな現行の勤務体制を変えていく方針だ。

 診察のデジタル化も、将来的に進めていきたい施策の一つ。AI(人工知能)問診や予約システムの構築、心拍や血圧データを活用した高精度の診察を理想としている。コロナ禍で受診控えが続く中で、来院時の「時間的密度」を高めていくことを狙う。諦めない「意地」を持って、一つ一つ成し遂げていく。


奈良県生駒市俵口町741 ☎0743ー74ー8660(代表)
https://www.wakoucai.or.jp/hanna-hp/

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