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市立病院は市民の病院

市立病院は市民の病院


病院長(ふくやま・ひでなお)

1975年京都大学医学部卒業。
京都大学大学院医学研究科附属高次脳機能総合研究センター教授、
同医学研究科教授、同健康長寿社会の総合医療開発ユニット教授、
同学際融合教育研究推進センター特任教授、
名古屋市立大学大学院医薬学総合研究院教授などを経て、2020年から現職。

 病院の移転計画を進めてきた現職市長を、現在地での建て替えを訴える新人が破って当選―。2020年10月のことだ。計画が振り出しに戻った市立野洲病院。福山秀直・新病院長の思いは。

中核となり医療・福祉をつなぐ

 病院長として赴任してすぐ、建物の老朽化に目を丸くした。複数の場所から雨漏りし、手術室の自動ドアも片側が開かない。さらに院長室のエアコンが効かなかったり、水道の温水が出なかったり。「1日に1回は何かしらのトラブルが起こり、枚挙に暇(いとま)がありません」と苦笑する。

 福井県出身で、医師人生の大半を京都大学で過ごしてきた。民間経営だった野洲病院の経営難を受け、市が設置した「野洲市新病院整備可能性検討委員会」の委員として招かれたのが、市立野洲病院との縁のきっかけ。2019年1月に前病院長が退任し、後任探しに苦心している状況を見かねて自ら手を挙げた。

 建て替え計画は、市長交代に伴って現在も揺れており、方向性が見えない。さらに新型コロナウイルス感染症の影響も直撃している中での船出。それでも、確固たるビジョンを掲げて実現へ力を注ぐ。市立野洲病院が中核となり、周辺の病院やリハビリ施設、福祉施設などをつないで、疾患の早期発見、早期治療から人生の最終段階における医療・ケアまで役割を分担するというもの。「この考え方を基にすると、野洲病院が巨大である必要はなく、150〜200床で間に合います」と力を込める。

 ただ、そのためには良好なアクセスが条件だという。「駅に近ければ午前中に来た患者さんが検査して仕事に行き、夕方には結果を聞きに来ることができます。そこで急性期に送るか、かかりつけ医にお返しするか、経過観察なのか、その日のうちに決定できる」。だからこそ今後も、市政には説明を尽くしていく。

「小さな病棟、充実の外来」実現へ

 「市立病院は、市民のための病院であるべき。そのモデルケースになれば良いと思います。『小さな病棟と充実した外来』を実現し、新しい考え方の病院として確立させられたらうれしいですね」

 ビジョンの実現と病院の円滑な運営のため、人脈もフルに活用していく。長く在籍した京都大学とのホットラインは強みの一つ。医師の派遣、電子カルテの更新などでのバックアップを期待する。

 新型コロナウイルス感染症のワクチンが県内に納入される際には公立病院として保管場所になるが、その量は膨大で管理も難しいと予想。「いざとなったら滋賀大学にいる後輩らにも相談させてもらうことになるでしょう」と話す。

行政、医師会とも同じ目標を持って

 1975年に京都大学医学部を卒業し、神経内科医として医師人生をスタートさせた。「当時は神経内科に人は少なく、1978年に取得した専門医番号は252番でした」。京都大学で亀山正邦・名誉教授に師事した。開業医だった祖父・母の後を継ぐ予定だったが、大学院時代に亀山教授に促されてそのまま在籍。当時から専門としていたのはPETなどの画像診断で、ソフトウェアのプログラムを組むなど数学的な素養も生かして先駆的な取り組みを進めた。

 現在の目標は、市立野洲病院の運営を軌道に乗せ新築計画を前進させること。「人間は目標を持つと元気が出るもの。地域住民のニーズに合った新コンセプトの病院ができれば、地域医療の質が高まります。行政や医師会、開業医も含めて、一つになって進めていきたい」。そんな青写真を描いている。

市立野洲病院
滋賀県野洲市小篠原1094 ☎︎077ー587ー1332(代表)
https://www.yasu-hp.jp/

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