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市民病院の役割を担い 夢を追う若手を育成

市民病院の役割を担い 夢を追う若手を育成

徳島市病院事業管理者(やすい・なつお)
1973年徳島大学医学部卒業。米南カリフォルニア大学整形外科、
大阪大学医学部整形外科助教授、徳島大学整形外科教授、同大学病院長、
同大学理事・副学長などを経て、2020年から現職。徳島大学名誉教授兼任。

 2020年4月、徳島市民病院の運営責任者となった安井夏生氏。整形外科医としての豊富な実績、徳島大学病院長の経験などに加え、剣道で鍛えた自慢の体力で毎日の業務を精力的にこなし、さらに愛される市民病院の実現に奔走している。

手術支援ロボットなど新鋭機器を導入

「徳島県初の公立病院として開設され、2020年で92年の歴史を持つ徳島市民病院の運営をあずかることになり、身の引き締まる思いです」と語る安井氏。重点的に取り組む事業は三つ。一つは周産期医療だ。

 「新生児集中治療室や新生児回復室などを設備する当院は、地域周期医療センターに位置づけられています。低出生体重児の分娩や新生児医療に対応するほか、母体合併症や早産未熟児なども、内科や外科と緊密に連携して診療を行っています。採算性が課題となる分野ですが、公立病院の使命として注力します」

 二つ目が関節治療。「脊椎・人工関節センターを拡充し、2018年に立ち上げた関節治療センターのさらなる診療拡大を目指します。安全かつ正確な手術の実施に今や欠かせない、手術支援ロボットなど新鋭機器の導入も今後、積極的に行っていきます」

 三つ目はがんケア。日本人の死因トップであるがんに対する診療を、同院はさらに強化する。「三大治療はもちろん免疫療法など多様な治療を実施します。がんに関連するさまざまな問題を、新たに開設した緩和ケア病棟を含め、専門家と連携しながら総合的に対応していきます」

少年ケニヤに憧れ、冒険家を夢見た

 安井氏は大阪府吹田市生まれ。代々医師の家系だった。「医師になることを当然のこととして子ども時代を過ごしました。しかし、中学、高校と進むにつれ次第に疑問を持ち、他の職業に就くことを真剣に考えたことがあります」

 その職業が、なんと冒険家だという。「少年時代に読んだ少年ケニヤへの憧れが冷めず、中学時代に見たジョン・ウェイン主演の冒険映画「ハタリ!」が忘れられず、アフリカを旅する冒険家になることを一時、真剣に考えました」と笑う。

夢の追求にこそ価値がある

 夢から覚めて徳島大学医学部へ。卒業後、大阪大学整形外科へ入局した。

 「担当教授から『これからの整形外科医は単なる骨の大工ではあかん。病態から学んで本質的な治療をしなさい』との薫陶を受け、大学院で骨の成長メカニズムを学び、成長障害の要因となる骨疾患の研究に取り組みました」

 骨は軟骨が損傷すると伸びなくなるため、軟骨の代わりに、骨切りした切断面に形成される仮骨(かこつ)をゆっくりけん引して骨を延長する治療法がある。安井氏はこの骨延長術のスペシャリストだ。

 異色の整形外科医として活躍するバックグラウンドは、博士号取得後に実施した米国留学で形成された。「骨の成長に興味を持ち、いろいろ調べているうちに、成長に関わる軟骨成分を培養する研究に取り組む教授が、南カリフォルニア大学にいることが分かり、彼のもとで勉強することにしました」

 非常におおらかな先生で〝ドン・キホーテを尊敬し、フリーダムを愛す〟が口癖だったという。ある日、「君はどんな仮説を立てて研究しているのか」と先生から尋ねられたことがあった。「胸に秘めた夢のような内容を打ち明けると、先生は『素晴らしい。結果はどうであれ、ぜひ取り組んでみなさい。夢を追求することそのものに価値がある』と励ましてくれました」

 自分を支え続けてくれたこの言葉を、若い医師に伝えていきたいと語った。


徳島市北常三島町2ー34 ☎️088ー622ー5121(代表)
http://www.city.tokushima.tokushima.jp/siminbyoin/

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