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市民アンケートから考察 地域が必要とする医療へ

市民アンケートから考察 地域が必要とする医療へ


米島 學 事業管理者(よねしま・まなぶ )

1979年金沢大学医学部卒業。
同第一内科(現:内科)協力研究員、金沢市立病院中央診療部長、
市立敦賀病院院長などを経て、2016年から現職。

 2010年度から、9期連続の黒字経営が続く市立敦賀病院。2016年には、自治体立病院の中でも優良病院として表彰を受けている。米島學・敦賀市病院事業管理者は、地域のニーズに応えることを念頭に運営に取り組んできた。

―これまでの取り組みは。

 2007年、市立敦賀病院に対する市民アンケートが実施されたのですが、結果は厳しいものでした。

 例えば受診した理由についての回答で最も多かったのが「自宅、職場から近い」というもの。「ほかに適当な病院がないから」という回答も63・4%と高い。病院を選んだ理由について「評判が良いから」を尋ねてみる項目では、「そう思う」「まあそう思う」の合計が14・7%に過ぎませんでした。現在は、同じ質問で40%を超えるようになっています。

 嶺南医療圏の二州地域(敦賀市、美浜町、若狭町)の地形的な背景も浮き彫りになりました。山々に囲まれたこの地区は、福井市に行くには車で約1時間超。公立病院である当院は、質の高い地域完結型医療を提供する責務があると考えました。しかし当時は救急を断ったり接遇にも問題があったり。組織改革が必要でした。

―具体的な取り組みについては。

 病院のあり方検討委員会を設け、経営計画を立てました。テーマとして掲げたのは「自分がしたい医療をするのではなく、地域が必要としている医療を行う」というもの。

 従来は急性期医療への対応だけで良かったのかもしれませんが、高齢社会が進行する中では、そうはいきません。地域の医療ニーズを見極めて、それに応えていく必要があると考えたのです。

 まず「断らない医療」を徹底しました。現在、救急車は年間約2000台を受け入れています。

 高齢者を支える医療を実行するため、2014年、地域包括ケア病棟を開設しました。二州地域には、急性期後の患者さんを受け入れる病院がほとんどありませんので、地域包括ケア病棟の活用は欠かせません。稼働率も非常に高く、年間を通じてほぼ満床です。

 在宅医療については、県内では二州地域のみ、訪問診療の利用者数が年々減少しています。調べると、本来在宅医療を担うべき内科系の診療所が相次いで閉院していたのです。

 そこで2018年4月に訪問診療を開始。同年10月には訪問看護ステーション「つなぐ」を開設して、訪問看護を始めました。

―職員の意識改革は。

 患者さんへの対応の質を上げるためにも接遇研修に取り組みました。ただ、接遇の講師に数時間話をしてもらう程度ではいけないと、同じ講師に2年間ほどお願いをしてハード面、ソフト面を見直しました。特に、管理職や医師の研修は重要視しました。

 また、改革に当たっても上層部が指示をするのではなく、多職種が一緒になって話し合いながら問題解決を目指す「ワールド・カフェ」という手法を取り入れています。自分たちで決めた目標であれば実行しようという自主性も備わるはずです。患者さんの満足は、職員の仕事への満足度に関わってくると思います。

―国内でも有数の原子力発電所がある地域です。

 市民に対する緊急被ばく医療に対する講演などを積極的に実施しています。院内はもちろん、県内外にも派遣しています。放射線被ばくと一言で言っても内部被ばくと外部被ばくがあります。正しい知識を持つことが必要です。

 当院は早くから被ばくを想定した訓練に取り組んできました。東日本大震災の際にもそのスキルを持つDMAT(災害派遣医療チーム)を派遣することができました。今後も経験を生かしていきたいと思っています。

市立敦賀病院
福井県敦賀市三島町1―6―60
☎0770―22―3611(代表)
http://tsuruga-hp.jp/

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