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市、大学と連携協定締結 医師を確保し、一歩前進

市、大学と連携協定締結 医師を確保し、一歩前進

JA三重厚生連 三重北医療センター いなべ総合病院
院長(あいだ・なおたか)

1987年名古屋市立大学医学部卒業。名古屋市立病院、大垣市民病院、
三重北医療センターいなべ総合病院副院長兼院長補佐などを経て、2018年から現職。

 2019年6月、いなべ市と名古屋市立大学、いなべ総合病院の経営母体であるJA三重厚生連の三者は、連携に関する協定を締結。市が大学に寄附講座を開設し、病院への医師派遣が進んだ。「これからが正念場です」と語る相田直隆院長の胸中とは。

―隣町の菰野厚生病院と「三重北医療センター」の統一名称を掲げています。

 二つの病院の経営母体は同じ「三重厚生連」。一体化することで、医療機能の分担・集約化や医療資源の有効活用を進めようと、2017年に新体制をスタートしました。

 当院は220床、菰野厚生病院は230床。合わせて450床となりました。小規模病院は診療科を維持するだけでも大変です。総合病院として互いに内科と外科は欠かせませんが、それ以外の科はある程度集約し、双方で外来を応援しあう体制を整えつつあります。

 例えば、眼科手術は実績のある菰野厚生病院に集約。逆に、泌尿器科は当院。耳鼻科や皮膚科も当院で、と考えています。菰野厚生病院は慢性期医療が充実しています。互いの強みを生かして補完できれば、集約化で医療の質が向上し、患者さんにとってのメリットも大きいでしょう。

 ただ、両院を結ぶ交通手段がまだないのがネック。行政区が違うため定期バスが走っておらず、コミュニティーバスの整備が課題です。

―名古屋市立大学との連携を強化しています。

 背景には深刻な医師不足があります。11人いた内科医が年々減り、2018年には常勤医が2人だけに。診療に支障をきたす状況でした。さまざまな事例を調べてみると、同じ境遇の病院はいくつもありましたが、V字回復できたのは行政と大学、病院が連携した例が多いと分かりました。

 2019年6月、いなべ市と名古屋市立大学、JA三重厚生連との間で三者協定を締結。これに伴い名古屋市立大学には、地域医療を研究する寄附講座「いなべ市地域医療連携推進学」が設置されています。この寄附講座では、地域包括ケアシステム実現に向けて求められる病院機能や地域医療ネットワークの構築について研究していきます。

 当院には、名古屋市立大学病院「地域医療教育研究センター」の分室が置かれることになりました。センターに所属する教員は、当院に勤務しながら診療や研究、医師の教育などに当たることになっています。

 いなべ市には市民病院がなく、当院が市民病院的な役割を担っていることから、いなべ市に全面的に協力していただく形で、今回の締結が実現したのです。

―220床規模でのダビンチ導入は珍しいのでは。

 三重県でのダビンチ導入・導入方針表明は当院で5例目ですが、他の施設は400床以上。当院のような規模での導入は維持費などを考えると無謀だと思われるでしょう。

 しかし、若い医師を呼び込むには、高度な医療を行っていることが不可欠。先進的な取り組みをしていると発信することに意義があります。

 先日行った市民講座とダビンチ内覧会の参加人数は過去最多の200人。メディアにも取り上げられ、関心の高さがうかがえました。今後も泌尿器科、消化器外科を強みにしたいですね。

 目下、一番の願いは内科医の増員。満足にできていない救急医療を充実させるためにも必要です。また、複数の自動車関連工場があるいなべ市は、若い世代が増加しているエリア。若い世代が安心して子どもを産み、育てられる地域であるためには産婦人科、小児科は必須です。

 〝崖っぷち〟は脱したものの、今も氷の上を歩いているような心境です。市唯一の総合病院として、周辺地域を合わせた医療圏8万人の安心を守ることができるよう、とにかく前へ前へと進むしかないと思っています。

JA三重厚生連 三重北医療センター いなべ総合病院
三重県いなべ市北勢町阿下喜771
☎0594―72―2000(代表)
http://www.miekosei.or.jp/

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