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岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 CKD・CVD地域連携包括医療学 三位一体で、慢性腎臓病に立ち向かう

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 CKD・CVD地域連携包括医療学 三位一体で、慢性腎臓病に立ち向かう

教授(うちだ・はるひと)
1999年岡山大学医学部卒業。米ケンタッキー大学留学、
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科腎・免疫・内分泌代謝内科学助教、同医局長などを経て、
2019年から現職。NPO法人日本腎臓病協会副幹事長。

 慢性腎臓病(CKD)進行による人工透析導入を予防し、CKDに関連する心血管疾患(CVD)の発症を防ごうと、岡山県各地で地域医療連携の構築を進めてきた同講座。開設から10年目を迎え、その成果は形になりつつある。

―講座の成り立ちは。

 開設は2011年。腎臓内科専門医と循環器内科専門医の二者で立ち上げた寄付講座です。2016年に、今の講座名にリニューアルし、私は7年目になります。

 慢性腎臓病であるCKD患者は国内に約1300万人、8人に1人と推測されています。わが国の人工透析患者は増加の一途で、抑えるには前段階であるCKD対策が欠かせません。さらに、CKDは脳卒中や心不全などの心血管疾患(CVD)を引き起こす要因であることも分かっています。

 ところが、腎臓病は重症化するまで症状がほとんどなく、血液検査や尿検査から察するしかありません。日本腎臓学会が啓発に取り組む中、もともと岡山大学や岡山市、県は腎臓病対策を進めており、ヘッドクオーター(司令塔)としてつくられたのがこの講座です。以降、行政、医師会、アカデミアが三位一体となって、医療連携・包括診療システムの構築や臨床疫学研究に取り組んできました。

 異なる科が一つの講座を運営するのは珍しいスタイルですが、同志である循環器内科とは実に風通しがいいですね。8年ほど前からは、CKD患者に多いCVD発症を早期に防げないかと共同で臨床研究を進めています。

―地域医療連携について。

 最初に岡山市からスタートし、次に倉敷市、2016年には津山地区、2019年には東備地区に拡大。県内5分の4地区で体制が整いました。新型コロナで中断している県北西部・笠岡地区などとの連携が進めば、県全体に広がる状況です。

 肝心なのは、地域の特性に応じたシステムづくりです。基本は、患者さんを囲むように専門医とかかりつけ医、メディカルスタッフと行政が包括的にサポートします。腎臓病は生活改善が重要なのでメディカルスタッフが治療に寄与するところは大きいですが、医師の少ない地域は薬剤師や管理栄養士の働きが要です。特に岡山県内では美作市でうまくいっています。

 私たちはハブとしての機能が中心です。各地の人口構成や医療資源などを鑑みて、どんな連携が一番フィットするか模索します。そこに工夫のしがいがある。医師会の先生方に実例を示すと「うちはこの地区のパターンに近いかな」など反応が早く、話が盛り上がります。

―今後の展望と抱負を。

 短期的な目標は、岡山県全域にCKD地域医療連携をつくり上げること。これは新型コロナ次第でしょう。中期的な目標はCKD患者、透析患者を減らすことです。

 現在、県のビッグデータを解析中です。増加する透析患者数は、岡山市では頭打ち、美作市では微減傾向にあります。県全体でも、トータルは変わりませんが、新規導入数が減少。少しずつですが、重症化が予防できている手応えはありますね。

 活動を継続できているのは、県内各地でかかりつけ医としてご活躍されている先輩医師の先生方のサポートがあってこそ。とても感謝しています。 さらに、メディカルスタッフの活躍もあります。診療で伝えきれない内容を十分な時間をかけて説明する管理栄養士、生活面のケアに携わる看護師、適正な薬剤管理に気を配る薬剤師、電撃的な家庭訪問で支援を続ける保健師―。いちずな気持ちが束になって、大きな推進力になっています。

 こういったメディカルスタッフの連携の輪をもっと広げたいと考えており、それは、国や行政が目指す形でもあります。県内外を問わず、私たちの活動に興味ある方は、お声掛けください。手を携えて、できることを一緒に考えていきたいと思います。

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 CKD・CVD地域連携包括医療学
岡山市北区鹿田町2―5―1 ☎️086―223―7151(代表)
https://ckdcvd2011.wixsite.com/home/

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