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岐阜大学大学院医学系研究科 分子・構造学講座 内分泌代謝病態学分野 研究マインドと国際感覚  兼備する人材育成を

岐阜大学大学院医学系研究科 分子・構造学講座 内分泌代謝病態学分野 研究マインドと国際感覚  兼備する人材育成を

矢部 大介 教授(やべ・だいすけ)
1998年京都大学医学部卒業、2003年米テキサス大学大学院修了。
関西電力病院糖尿病・代謝・内分泌センター部長、同医学研究所副所長、
京都大学大学院医学研究科糖尿病・内分泌・栄養内科学特定准教授などを経て、
2018年から現職。

 岐阜大学大学院医学系研究科分子・構造学講座内分泌代謝病態学分野の矢部大介教授は、未来を担う若手医師の育成にエネルギーを注いでいる。キーワードは「研究」と「国際感覚」。その重要性と今後の展望について聞いた。

─育成に必要なものは。

 岐阜県では内科を希望する医師が少なく、私が着任した2018年当時は、総力を挙げた対策が急務でした。岐阜大学にある五つの内科教室の教授で内科系のセミナーを設立。講演会や懇親会を通じて内科の魅力を伝えています。こうした働きかけも奏功して、岐阜県で内科に進む若手医師が着実に増加していることは大変うれしく感じています。

 ただ、数が増えるだけでは十分ではありません。医師として標準化治療を実践できる知識やスキルを習得することは基本ですが、新しい治療や検査を通してより良い医療を提供するには、自らが考え、チームと議論し、行動できるリサーチマインドを持つ医師の育成が重要です。リサーチマインドを備えた医師を育てるため、若い医師に勧めているのはしかるべきタイミングで研究をすること。若い医師は研究というワードに身構えがちですが、経験した症例に対して、「なぜ」と問いかけるところから始めることを勧めています。

 例えば私たちのグループは、継続が難しい糖尿病の食事療法をいかに継続してもらうかという問いに対して、和食にみられる「食べる順番」に着目し、最初に先付けを食べ、魚、肉、最後にご飯という順番で食べると食後高血糖や体重に良い効果をもたらすことを臨床研究で明らかにしました。

 いざやり出すと、「こういう観点でやればどうか」などと若手が新しいアイデアを持ってきて、知的で楽しい時間を過ごすことができています。

─海外経験の必要性は。

 「国際的な医療人」という観点も大事にしています。私自身も大学院時代をアメリカで過ごしました。異文化の中で勉強すると、医療や医学の分野に限らず、日本の誇れるところ、改善が必要なところが認識できます。目の前の診療や研究に直結する訳ではありませんが、医療人としての幅が大きく広がります。

 様々な要因から海外留学する若手医師が減少していますが、私が事務局としてお手伝いしているアジア糖尿病学会、ヨーロッパ糖尿病学会による臨床研究の企画・実践を学ぶトレーニングコースに日本から参加した若手医師たちが、目の色を変えて「次は英文で論文を出したい」と頑張る姿は頼もしく感じています。

 私は岐阜大学医学部附属病院で国際医療センター長も拝命していますが、活動の柱の一つが国際的に活躍できる医療人の育成です。初期研修医の国際学会参加はもちろん、演題投稿のサポートも行っています。

 若い人は、場所とチャンスを与えたらどんどん伸びる。最初から「海外なんて」と拒絶するのはもったいない。若い時にしか挑戦できないので、どんどん国際的な場で自分を磨いてほしいです。

─人材育成の先は。

 高いスキルを持つ若い医師を育成して県下に輩出するのが使命であると同時に、糖尿病、内分泌代謝疾患、膠原病の診療や治療の質向上に資する研究を発信することも極めて重要です。

 超高齢社会を迎え高齢糖尿病患者が増え、糖尿病性腎症など古典的な合併症の対策に加え、サルコペニアやフレイル、認知症などの併存症が喫緊の課題です。私たちのグループでは、栄養に注目し、健康寿命延伸に資する方法の開発を目指し基礎・臨床研究やデータサイエンス研究を加速させています。オリジナリティーの高い研究発信を続けるためには、リサーチマインドと国際感覚を持つ若手を育成することが極めて重要であり、全力で取り組んでいきたいと考えています。

岐阜大学大学院医学系研究科 分子・構造学講座 内分泌代謝病態学分野
岐阜市柳戸1―1 ☎︎058―230―6000(代表)
http://www.med.gifu-u.ac.jp/diabetes/

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