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山梨大学医学部 脳神経外科学講座 確かな技術を身につけ 次世代の医師を育成

山梨大学医学部 脳神経外科学講座 確かな技術を身につけ 次世代の医師を育成

教授(きのうち・ひろゆき)
1983年秋田大学医学部卒業、1987年東北大学大学院修了。
米カリフォルニア大学サンフランシスコ校、広南病院脳神経外科、
米スタンフォード大学、秋田大学医学部脳神経外科学講座助教授などを経て、
2005年から現職。

 脳・脊髄に関わる神経系疾患を広く対象とする脳神経外科。医療技術の進展によって、より低侵襲で確実な治療が可能になっている一方で、医師教育の現場には課題もあるという。木内博之教授に、講座の現状と今後の展望を聞いた。

─講座の特徴は。

 開設時から、動脈瘤(りゅう)のクリッピング手術や脳卒中の外科治療などを得意としています。現在は、血管内治療や脊椎外科医の育成などにも力を入れ、県内の医療を担える人材を育てるように努めています。一般的な脳神経外科の領域を網羅し、かつ、一つか二つ、サブスペシャリティーを身につけてほしいと考えています。

 本学の大きな特徴は、最先端の手術室と手術設備を備えていること。3テスラの可動式術中MRI装置は、グリオーマや非常に難しい脳腫瘍であっても、かなり高い摘出率での手術が可能です。術中血管撮影装置では、血管内治療と外科治療の両方行うハイブリッド手術が可能です。

 教育面でも、顕微鏡手術に加えて、内視鏡、外視鏡といった最先端の設備を使いこなし、患者さんに良い結果を残せるような技を身につけていくことを重視しています。神経系の救急もわれわれが担当しています。

 研究には、大変重きを置いています。臨床に還元でき、研究者自身の成長にもつながります。まずは大学院に入ることを全員に勧めており、約9割が進学しています。科研費の申請も全員で書き、申請を待つようにしています。学内には神経系を専門に基礎研究を行っている先生が多く、その先生とも連携がとれる良い環境があります。

 現在は脳血管障害、特に、虚血性神経細胞障害の機序の解明と神経保護の開発について研究を進め、虚血耐性現象の保護機構や再生医療にも注目しています。悪性脳腫瘍については、腫瘍の進展機序や免疫寛容の解明などを行っています。そのほか、原因不明で髄液が漏れる脳脊髄液漏出症の研究も行っています。

─大切なことは。

 貫井英明初代教授が1984年に開設以来、本学の人材育成の理念である「地域の中核、世界の人材」のもと「人の和を大切にし、開かれた教室に」を信条にしています。まず「カンファレンスでは声を出せ」と伝えています。先輩に対しても疑問を持ったら口に出し、ディスカッションする。もちろん、患者さんの命がかかっているので結果に厳しく、原因を追究しなくてはいけない場面もあります。誰もが、自由に発言できる雰囲気は、医療安全上も大切です。

 医師教育の一番の課題は、世界的な傾向ですが、血管内治療や定位放射線治療などの低侵襲治療の増加に伴い、手術件数が減っていることです。手術は脳神経外科の根幹です。少ない手術数の中でいつ、どうやって学ばせるのかが課題です。

 以前はある程度の手術数の経験がなければ手術はできませんでしたが、現在は早い段階から若い医師を参加させ、指導医が横について、安全を担保しながら手術ができる機会を広げています。

 同時に、手術中に「次はどうする」「こうするとどうなるだろうか」と多くの質問を投げかけ、症例1例から10例分を学ぶようにしています。昔なら先輩の背中を見て覚えていたことも、今の時代はステップを踏んで細かく指導が必要です。

 「想像は創造を生む」とよく言うのですが、イマジネーションを持って、一例一例を大事にするという手術教育を行っています。

─今後の展望は。

 2018年附属病院に「てんかんセンター」が設立されました。小児から成人までを対象に、小児科や脳神経内科、精神科と連携して診療にあたるもので、外来・入院・手術・リハビリテーションまで含めた診療体制を整えています。

 今後は、山梨県でてんかんを診られる専門医や研究者の育成にも力を入れていきたいと思います。


山梨県中央市下河東1110 ☎️055─273─1111(代表)
https://www.med.yamanashi.ac.jp/clinical/neurosur/

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