山梨大学医学部附属病院 病院長 武田 正之

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 明けましておめでとうございます。2019年末に中国湖北省武漢で始まって世界的なパンデミックとなった新型コロナウイルス(COVID―19)感染症は全国各地でクラスターを起こして高齢患者、重症患者が増加し、対応する医療スタッフの疲弊と病院経営の悪化をもたらしています。政府は補正予算によってCOVID―19患者を受け入れている病院に対する空床保障を行っていますが、病院経営には全く不十分です。

 さてRT―PCR(Reverse transcription-polymerase chain reaction)法はCOVID-19感染の診断に重要な検査法でありますが、このPCR法はアメリカ合衆国の生化学者であるMullisによって1987年に開発され、彼はその功績で1993年にノーベル化学賞を受賞しました(Mullis KB, FaloonaFA:Specific synthesis of DNA in vitro via a polymerase-catalyzed chain reaction ,Methods Enzymol . 1987;155:335-50)。 ガールフレンドを乗せてのドライブ中にMullisの頭に突然PCRのアイデアができあがったそうですが、当初は彼のアイデアを正しく評価する同僚はいなかったそうです。

 わが国では分子生物学的な研究のための手法として普及し、筆者も1994年ごろに当時日本で発売されたばかりの米国Perkin―Elmer社製Thermal Cyclerを購入して、自分で執刀して摘出した組織からRNAを抽出して逆転写(RT)を行い、目的DNAに対するprimerを自ら設計してPCRを行って研究論文を作成していました。

 この時期は、PCR産物をアガロースゲルで電気泳動して、バンドの数とサイズマーカーとの比較でPCRの成否を確認していましたが、最近はReal time PCRによって電気泳動は不要となり、PCRの途中でも大まかな結果が分かるようになりました。現在は、感染症などの診断に必須の検査法です。

 2020年12月に英国・米国で、新しい機序のCOVID―19用RNAワクチンの臨床使用が開始されるという朗報がありましたが、With CORONA時代に、わが国でも PCRの発見のようなSerendipityを期待しています。本年もよろしくお願い申し上げます。

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