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山口県の未来を担う呼吸器専門医を育成

山口県の未来を担う呼吸器専門医を育成

山口大学大学院 医学系研究科 呼吸器・感染症内科学講座
松永 和人 教授(まつなが・かずと)

1991年和歌山県立医科大学医学部卒業。
同大学附属病院診療医、米南フロリダ大学留学、
和歌山県立医科大学内科学第3講座准教授などを経て、
2015年から現職、山口大学医学部附属病院副病院長兼任。

 山口県内の呼吸器・感染症領域の医療の充実を目指して開講した山口大学大学院医学系研究科呼吸器・感染症内科学講座。若手医師の育成に尽力する松永和人教授に、講座の現状と展望を聞いた。

─講座の特徴について聞かせてください。

 当講座は、2015年7月、4人でスタートしました。現在は15人の医師が在籍しており、非常勤を含めて地域の医療機関10施設以上に医師を派遣しています。地域のクリニックや病院との連携も進んでおり、最近は病状が比較的軽いうちに治療を開始できる患者さんが増えてきたように思います。

 診療の領域は、風邪や肺炎、ぜんそく、COPDなど、いわゆるコモンディジーズと言われる日常的によく耳にする病気から、肺がんや呼吸不全など専門性が高く在宅医療につながるような疾患まで対応しています。また、医療機能においても急性期から慢性期まで幅広くカバーしています。

─山口県内の呼吸器内科医療の現状は。

 内閣府の調査では、2018年の山口県の高齢化率は47都道府県中、第4位。上位に位置しています。

 高齢化に喫煙、やせや肥満といった栄養障害、活動低下などの危険因子が重なると、体の中に慢性的な炎症が生じ、さまざまな病を引き起こすと考えられています。呼吸器疾患もこうした危険因子を併せ持っており、近年、山口県内では肺がんをはじめ、あらゆる呼吸器疾患が増加傾向にあります。

 一方で、山口県は呼吸器専門医が著しく少なく、循環器や消化器など、他の診療科の医師が呼吸器の領域まで対応しているような状況です。

 当講座では、がん、アレルギー、感染症など、あらゆる呼吸器疾患の治療ができる呼吸器専門医を育成することに尽力しています。

 同時に、学生や呼吸器以外の診療科を選択した医師にも、呼吸器疾患治療で必要な知識や技術を習得してもらえるように取り組んでいます。

 開講して4年余り、こうした教育の成果は着実に表れてきています。例えば、呼吸回数の評価や、呼吸機能検査のデータ解釈などは研修医や学生も理解できるようになってきました。

 呼吸器内科医の育成は、その知識やスキルを系統立てて継続的に伝えることが重要です。そうした観点からも、当講座の存在意義は大きいと思っています。

 また、地域の高齢化を見据えて、2019年4月から呼吸器・健康長寿学講座も開設しました。現在は、呼吸器・感染症領域の課題となっている誤嚥(ごえん)性肺炎の予防に取り組んでいます。

─今後の展望について聞かせてください。

 今後は、AI(人工知能)やICT(情報通信技術)も、呼吸器疾患に対応するツールとして、積極的に活用していきたいと考えています。

 例えば、ICTは、過疎地域などを対象とした遠隔診療に活用できます。在宅で過ごす呼吸器疾患の患者さんの状態の変化に早い段階で気付き、対処するために、訪問看護に行く看護師がキャッチした患者さんの様子や症状といった情報をもとに、離れたところにいる医師が診断し、指示をするといった使い方です。

 研究面では、当大学の機械工学分野と共に「電子聴診器」を共同開発しています。肺炎や心不全を起こすと、呼吸法が変わります。危険な呼吸法かどうかを電子聴診器で区別し、その情報をコンピューターで解析して肺炎予防などにつなげたいと考えています。呼吸音を録音して解析するところまではできていますので、ICTと絡めて、どう活用していくかを、これから追究していきたいと思っています。

山口大学大学院 医学系研究科呼吸器・感染症内科学講座
山口県宇部市南小串1─1─1
☎0836─22─2111(代表)
http://www.kokyuki.med.yamaguchi-u.ac.jp/

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