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展望開ける技術開発を4Dで捉える体内画像

展望開ける技術開発を4Dで捉える体内画像

琉球大学大学院医学研究科 放射線診断治療学講座
教授(むらやま・さだゆき)

1981年九州大学医学部卒業。
米チューレーン大学留学、米ワシントン大学留学、
九州大学医学部附属病院(現:九州大学病院)放射線科講師などを経て、1999年から現職。

 医療現場を支える上で、重要な働きを担う放射線科。新たな医療機器の開発により、低侵襲の検査が可能になりつつある。「呼吸機能イメージング研究会」の代表も務める琉球大学の村山貞之教授に、新たな技術開発の進捗状況について聞いた。

―研究中のテーマについて教えてください。

 現在、主なテーマとしているのは、CTを用いた4Dの呼吸機能動画の製作です。これは、志を同じくする「呼吸機能イメージング研究会」と、キヤノンメディカルシステムズの共同開発です。

 特に私が専門としているのは肺気腫に関する研究で、肺の動きを4Dの動画で捉え、数値化して表すことを目指しています。実用化すれば、これにより胸腔鏡下手術が可能かどうかの術前診断が容易になりますし、病態をより一層明確に評価するのに役立つでしょう。

 もう一つのテーマは、シネMRIを用い、血管の中の血流を4Dで視覚化し、数値で表す動画像の製作です。この研究は文部科学省から科学研究費を得て、若手の医師と共に携わっているもので、主に肺動脈性肺高血圧症について調べています。

 以前はほとんど治療法がなかったこの病気は、今ではたいへん効果的な薬が開発され、治療成績も良くなっています。ただ、どのくらい効果が出ているのか知るためには、しっかりとした計測が必要です。カテーテルによる方法は、患者さんにとっても負担が大きい。超音波で測る方法もありますが、肺動脈は体表から深い所にあるため難しい面があります。その点、シネMRIを使った検査なら、より低侵襲で治療効果判定ができるのではないかと考えています。

―それぞれの研究の進捗状況は。

 動画製作においては、これまで段階的にいろいろな論文を書いてきました。

 それまで静止画のみの撮影法しかなかったCT撮影を、動画撮影するための方法。次に、撮影時の被曝(ばく)量を減らすための方法。肺がんの場合は、がん周辺の肺の動きを観察することで、周囲の組織への癒着や浸潤があるかどうかの判断材料にします。それぞれの組織が動く様子をコンピューターで数値化するための方法についてなどです。

 動画撮影の際、当初、問題となっていた被曝量は、研究の結果、線量を8分の1の20ミリシーベルト程度まで減らすことができました。

 また、画像の数値化については、撮影で得られた組織の動きを、コンピューターが数値化して表示し、癒着部分を色分けして表すシステムができつつあります。現在、外科との協力により、実際の手術の際に画像から予想した状況と結果が、一致するかどうかの検証を進めているところです。

 シネMRIを使った血管の中の血流を視覚化する研究では、動画上に血管がくっきりと表示されます。そして、その中を通る血流の速度がコンピューターによって色分けされます。さらに、その流れの様子も、束になった流線で表わされるというシステムが構築できています。

 主に肺動脈性肺高血圧症について調べていますが、この病気においては、どんな血流が良くない影響をもたらすかも分かってきています。この技術を完成させれば、どこに濁流のような血流があるかの視覚化、数値化が可能に。病態をより把握しやすくなるでしょう。

―今後の見通しは。

 呼吸機能画像に関しては、目標とする150症例が集まれば、論文が仕上げられます。来年度中の完成を目指しています。

 血流に関する研究は、まだ始まったばかりといった段階です。今後も医療の発展に貢献する研究成果を出し、実用化を目指したいと思います。

琉球大学大学院医学研究科 放射線診断治療学講座
沖縄県中頭郡西原町上原207
☎098―895―3331(代表)
http://www.ryukyu-radt.com/

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