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就労支援、地域交流で精神疾患の理解を深める

就労支援、地域交流で精神疾患の理解を深める

医療法人友愛会 千曲荘病院
理事長・院長(えんどう・けんじ)

1981年新潟大学医学部卒業。
同医学部助手、千曲荘病院副院長などを経て、1996年から同院長、2009年から現職。

 長野県上田市にある千曲荘病院は、上小医療圏における精神科医療の中核病院として、60年以上の歴史を持つ。院長である遠藤謙二氏は、精神疾患などに対する偏見や誤解をなくすため、地域とのつながりを大切にし、患者の就労支援などにも注力している。

―病院の主な特徴を教えてください。

 当院は精神疾患およびメンタルヘルス全般の予防から治療、リハビリ、生活支援、さらにはエンドオブライフ・ケアまで、トータルにサポートできる体制を整えています。患者さんの年齢も中学生から100歳以上と幅広く、約20万人の医療圏で中核的な精神科医療機関となっています。

 病棟は精神科救急病棟、認知症治療病棟、精神療養病棟を設け、医師、看護師、薬剤師、公認心理師、精神保健福祉士、作業療法士、栄養士などがチーム医療を展開しています。治療では、難治性統合失調症に対してクロザピン治療を積極的に施行。うつ病には、まだ準備段階ですが、今後TMS(経頭蓋磁気刺激)治療を取り入れていく予定です。

 当院は約20年前から積極的に認知症治療やケアに取り組んでいます。認知症病棟以外にも、同じグループが運営する認知症デイケア「なごみ」、認知症のグループホーム「アルテミス」などの専門施設があり、2018年には長野県から認知症疾患医療センターに指定されました。

―患者さんの就労支援や地域交流も積極的です。

 以前、ソーシャルファーム(社会的協同組合)が進んでいるイタリアを視察する機会があり、それを機に、患者さんの就労を積極的に応援したいと感じました。

 そこで2016年に「就労支援プログラム」を立ち上げ、現在は上田市のハローワークとも提携して就職支援を行っています。この取り組みによって、実際に多くの患者さんが地元企業に就職。もちろん、働き始めた後の支援も重要で、悩みや相談がある人には当院のスタッフが対応し、ハローワークの皆さんとも情報共有しながら、きめ細かいアフターフォローに努めています。

 私が重視しているのは、精神科や精神疾患に対する偏見や誤解をなくし、地域社会に溶け込むことです。その一環として、当院では「病院祭」を毎年開催。13回目となる2019年には、4423人もの来場者がありました。

 また、中学生、高校生を対象にした職業体験も積極的に受け入れており、多くの生徒から「精神科病院のイメージが変わった」という声をいただいています。これからも地域とのつながりを強くし、悩みのある人が気軽に来院でき、継続受診をためらわないような環境をつくりたいですね。

―今後の展望は。

 今まで以上に、患者さんの「リカバリー」を応援する活動に注力します。具体的には患者さんが回復して仕事に就いたり、地域社会に参加できたり、さまざまな観点からお手伝いしたいと思っています。

 2019年12月に開催した「キャンドルナイトin上田」もこれらの活動の一つです。このイベントでは、患者さんが実行委員となって準備を進め、当日は自分の体験談などを地域の皆さんに向けて発表しました。参加された皆さんに好評で、主催した患者さんも喜んでいました。今後もこのような活動を続けて、いずれは同じような動きが全国に広がってほしいと願っています。

 病院運営の面では、当院の基本理念である「愛、信頼、奉仕、希望」に向かって行動できる人材づくり、組織づくりをさらに進めていきます。精神科病院で最も大切なものは、やはり人間力。私自身も含め、人としてのクオリティーを高めて、今後も地域に必要とされる病院として邁進(まいしん)したいと思います。


長野県上田市中央東4―61
☎0268―22―6611(代表)
https://tikumaso.jp/

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